患者に伴走する看護の倫理

プロの間で起きる対立と倫理
医療の現場では、病気を診る医師、患者を見る看護師、ほかにも福祉系の専門職などの多様な人々が集まり、関わっています。ある立場からの意見は、別の専門家から見ると最善ではない場合もあるでしょう。知識も技術も異なるがゆえに、価値観はぶつかることがあります。中でも看護師は、中心に患者と家族を据えて、どうしたらその人が自分の人生を望む方向に進めるか、少しでも近づけられるかを考えています。専門職が協働する医療の現場で「倫理観」は、調和の骨組みになるべきものです。
病気や治療方針をこどもにどう伝えるか
日本の法律(民法)上、小児看護は18歳になるまでのこどもが対象です。いろいろな判断ができる思春期であっても、親の管理下で暮らしているためここに含まれます。特に小児がんなど、長期的な治療を必要とする場合、「インフォームド・アセント」によって「説明と納得」を経る必要があります。医師から病気や治療方針の説明を受けて、こども本人が納得して治療を始めるのです。どのタイミングで病名や治療方針を説明するかは医師が決めますが、看護師は説明を望む・望まないという親の立場にも寄り添いながら、こどもの長い人生のために最善を尽くせるよう動きます。伴走するようなイメージです。
内なる倫理観を育む
命に関わる医療の現場だけに、複雑な事情が発生することは多く、看護職の道徳観や倫理観は常に試されています。それが看護の奥深さでもあります。考えたことや判断したことを、こどもや親に説明できて、価値観に寄り添える看護師になるために、「内なる倫理観」を育む必要があります。
医療技術だけでなく、倫理観を育んでいくこと、看護職の人権も含めた看護倫理の研究が行われており、看護職を支える材料として医療現場に役立てられています。
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