楽しい余暇を提供するテーマパーク そこで働いている人の余暇は?
余った暇な時間?
仕事や家事、睡眠など、生きる上で必要な時間があります。それ以外の自由な時間のことを「余暇」と言います。ゲームで遊ぶ時間や外食、ウインドウショッピングも余暇です。ただ、「余った暇」と言われると抵抗があるためか、英語の「レジャー」の方が浸透しています。
労働と余暇の関係についての研究では、労働時間が短ければいいというわけではなく、長時間労働でも余暇を充実させている人がいるとわかっています。良い労働と良い余暇はセットであり、人生の時間のデザイン力が影響しているものと考えられます。
1%にこだわるテーマパーク
ホテルやテーマパーク、飲食業などのホスピタリティ産業に注目して、そこで働く人にとっての余暇はどうなのか、研究が始まりました。
来場者の1%しか気づかないところにでもお金をかけ続けるのがテーマパークです。マンホールや建物も、エリアの設定年代やテーマによって使い分けています。レストランの味や雰囲気が良くても、例えば床がぬめっていたなど、たった1つの負のポイントで人は評価を決める傾向にあるので、小さなことにも一切手を抜きません。当然、働く人も見られています。1人の接客がきっかけで一気に評判が落ちることもあり、質の高い空間を提供していくためには、志の高い人に働いてもらうことがポイントです。
テーマパークが生き残っていくために
しかし、テーマパークで働きたいという人は減ってきています。それもあって、賃金はここ数年上がっており、従業員食堂の改善など働きやすい環境づくりも意識され始めています。また、採用してもすぐ辞めてしまうこともあります。それは仕事内容や、余暇の実態(お休みの過ごし方)が世間に知られていないことが一因とも考えられるため、従業員の余暇の研究が進むと、労働条件のさらなる改善につながる可能性があります。
良い人材を集めて良質なサービスを提供し続けるという好循環を生むことは、テーマパーク産業の生き残り、さらには多くの人々の良い余暇を支えることにつながっていくでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
大阪国際大学 国際教養学部 国際観光学科 講師 杉嵜 聡紀 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
観光産業、余暇学、レジャー産業論先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?