今の日本に求められる、すべての人に健康と幸せを届ける国際看護
国際看護と看護管理
SDGsのひとつに、「すべての人に健康と福祉を」という目標があります。この実現に大きく関わっているのが、国際看護学です。世界における健康格差や背景を把握しながら、すべての人々の健康維持・改善を提供するための看護のあり方などを追究しています。加えて、より良い看護を提供するための組織や仕組みを考える看護管理も欠かせません。
国ごとに異なる現状と課題
国際看護学の課題はさまざまです。例えば、モンゴルでは心不全で亡くなる人が非常に多く、早期の発見や、生活指導の方法などが課題となっています。患者や家族に寄り添う看護師が、どのように伝えれば効果的かを検証するプロジェクトがスタートしており、現地の大学と病院が共同でツール開発やナース教育などを研究しています。こうした課題には、その国の現場の人が考えて実行し、継続できる仕組みが大切です。
また、国によって医療ケアの考えや文化、病院の経営システムが異なります。600床の病院における日本とアメリカの看護師数を比較すると、日本は約600人ですが、アメリカでは約1,000人の看護師が働いています。そこには、看護師の労働環境などの格差も存在しています。
日本国内にこそニーズがある
国際看護は、実は日本国内にもニーズがあります。外国人労働者や海外からの旅行者が増える中、外国人を対象とした医療ケアは、改善の余地が大きいのです。
子どもの貧困や母子の保健なども見逃せません。地域で連携して健康や幸せを実現するコミュニティヘルスや、社会福祉も不可欠です。高齢者の健康寿命を伸ばすために、骨粗しょう症や転倒予防に有効とされる柔道を活用するなど、スポーツ科学と連携することで世界中の高齢者に貢献できるでしょう。
多様化した社会のあらゆるシーンに存在するニーズをキャッチして寄り添う看護ケアが今、求められています。人々が健康と幸せを手にする方法を考えて、それを届けるための仕組みづくりが必要となっているのです。
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先生情報 / 大学情報
静岡県立大学 看護学部 看護学科 教授 竹熊カツマタ 麻子 先生
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看護学、国際看護学、看護管理学先生が目指すSDGs
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