看護とは人が尊厳を取り戻し、尊厳をもって生きることを支える学問
看護の果たす役割
看護学は人の生命に関わり、その人が、その人らしく生きていくための支援をする学問で、果たす役割と活動の場所は拡大しています。WHO(世界保健機関)などの国際機関で働く看護師や、厚生労働省や県庁などで政策に関わる看護師もいます。また、専門看護師という、スペシャリストとして活躍する大学院を卒業した看護師も登場し、がんや集中治療など、高度な意思決定と技術が求められる場面で活躍しています。
今、これらの新しい支援方法を開発する研究が、数多くなされています。傷害を受けた機能を回復させるような新しい技術の開発や、望ましい健康行動を日常生活に取り込むための教育方法や内容などの研究です。また、治療は医師が行う投薬や手術だけではなく、食事、運動、睡眠・休息、ストレスへの対処、清潔の保持など、人が生きていくための基本的なニーズまで多岐にわたっています。そして、心のサポートもあります。人には「スピリチュアリティ(精神性)」があって、人から必要とされ、周囲の人々や社会、そして人を超えた超越性とのつながりの中に自分の生きる意味を見出します。病気の予防・回復など、その意味が見出せないと、人は前向きに取り組めません。ここを支援し、人が生きていくために基本的に必要なニーズを整え、そして、専門的に病気を管理する、これが看護の仕事です。
臨床の学問
看護の方法論をどうやって臨床の中に適用していくのでしょうか。臨床への適用では、患者さんの、今おかれている状況や生き方、大事にしていることなどを把握し、どのようなケアを提供するかを判断します。「深い人間理解」に加えて、倫理観も必要です。
医療技術の進歩で、選択肢がたくさん生まれてきました。今まではあきらめざるを得なかったことも可能となり、選択肢が増えたため、自分はどれを選択したらよいのか意思決定する必要が生まれました。選択後も、自分がした選択で本当に良かったのかなどといろいろな苦しみに直面します。そのため、その意思決定を支援する看護が重要になるのです。
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