地道な努力と多彩な技術でエジプト文明の謎に迫る
古代エジプト文明が持つ圧倒的なスケール
現在、エジプトで一番大きなピラミッドを造ったとされるクフ王の父であるスネフェル王のピラミッドとその息子たちの墓の調査が進んでいます。発掘作業が進めば「なぜあそこまで巨大で、四角錐の形をした建物が造られたのか」というピラミッドの謎が明らかになる可能性があります。これまでにもシリアやイタリアで遺跡の調査が行われましたが、それらと比較しても、エジプトの遺跡は段違いな規模です。「ピラミッド」という謎の多い建築物が残されていること自体が、古代エジプト文明の限りないスケールを物語っています。
あらゆる分野の技術を集結
「発掘」というと穴を掘り、埋まっているものを探すというイメージが強いでしょう。しかし実際はそれだけではなく、発見した遺構・遺物を測量・実測し、その後調査後の遺跡を修復し、保存をするまでがセットとなっています。そのため、発掘の際には修復技術を持つスタッフが同行することがほとんどです。普段、仏像やヨーロッパ絵画を修復している技術を、遺跡の修復に生かすのです。さらに、発掘で人工衛星や地中レーダー、ドローン、三次元計測機といった最新機器を操作する際には、その技術者も立ち会います。現代の発掘作業は、さまざまな分野の技術を用いて調査をするのが主流なのです。
発掘作業に必要な力とは
エジプトにはまだまだ遺跡が眠っていますが、発掘されているのは全体の約10パーセントと言われています。発掘調査のメインは、そのような謎多き土地から歴史や文明が築かれた痕跡を探すことです。そのためには、広大なエジプトを歩き、土器や住居の跡を探し「ここだ」という場所に目星を付けるという地道な作業も求められます。調査隊が場所探しをしていると遊牧民の男性がやってきて「あっちを探した方がいい」と声をかけられ、その場所を掘ると本当に痕跡が見つかったということもがあります。その遊牧民によると「雨が降ったあとの土地の状態や草の生え方でわかる」とのことで、発掘には勘と経験も必要とされるのです。
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駒澤大学 文学部 歴史学科 教授 大城 道則 先生
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