外国人旅行者が増えると、日本はどう変わるだろう?

外国人旅行者が増えると、日本はどう変わるだろう?

1000万人を突破した外国人観光客

日本を訪れる外国人観光客が、2013年に初めて1000万人を超えました。多くはアジアからの観光客で、アメリカ、ヨーロッパが続いています。しかし、アジアではなく欧米からの観光客が多い、広島県の宮島のような観光地もあります。海の中に建つ厳島神社の赤い大鳥居がガイドブックで取り上げられたことや、歴史的にも関心の高い広島市の近くに位置すること、美しい海や山に囲まれ旅館でのんびり過ごせることなどが、長期間滞在し、その土地でしか味わえない体験を求める欧米人をひきつけているのです。

外国人観光客が地域にもたらす影響

外国人観光客が訪れると、地域にどのような影響があるでしょうか。
最大のメリットは、日本人観光客は週末に集中しがちですが、祝日や休暇の取り方が異なる外国人は平日にも滞在するため、混雑期と閑散期の差を緩和してくれることです。また日本人があまり行かない場所にも、視点の違う外国人観光客が魅力を感じて足を運んでくれると、衰退する観光地を救う手立てになり、新しい観光地の発展にもつながります。しかし、外国人観光客にも目当てのスポットに流行があるので、客足の予測が立てにくいという難点があります。

日本が観光で発展するために

今後さらに外国人観光客が増えると、訪れる地域や目的はより多様化するでしょう。その中で、言葉の壁を取り去ることは大きな課題です。滞在中に地元の人とコミュニケーションを取ることは旅行の楽しみのひとつなので、特に口頭で言葉が通じにくいことを多くの外国人が残念に感じています。多言語の表示はもちろん、コミュニケーションの取れる人材を育成する必要があるでしょう。また観光資源となる自然や町並みの保全、周遊しやすい交通網を整備するには行政の力が不可欠です。
外国人観光客を受け入れるということは、多様な背景を持つ人々に日本滞在を楽しんでもらえるように、準備を整えるということです。これは、多文化社会を意識した街づくりへ踏み出すことでもあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

広島大学 総合科学部 国際共創学科 教授 フンク・カロリン 先生

広島大学 総合科学部 国際共創学科 教授 フンク・カロリン 先生

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観光学、観光地理学、地理学

メッセージ

私が観光に関する研究を始めたきっかけは、地元ドイツから日本を訪れた際に、日本とドイツの観光スタイルの違いを実感したことでした。観光を学ぶときに最も大切なのは、この「実感」です。実感がともなえば、さまざまなことが見えてきます。ですから、観光に興味があるあなたには、まず自分で旅行することから始めてほしいと思います。そして、旅先の人々や地域の文化、自然、観光客を受け入れる施設や案内などを、多様な内側の視点からリサーチしてみてください。いろいろなことに気づくと、いっそう面白くなるはずです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

広島大学に関心を持ったあなたは

広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、4研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。