ソーシャルワーカーの仕事は人々の「幸せ」を高める
ソーシャルワーカーの立場と役割
社会福祉士などソーシャルワーカーの仕事は、対象となる人の代弁者として意向を受け止めながら、その人の権利を守り、本人に代わって周囲の環境を調整し、複数の分野をつなぐ役割を担っています。ソーシャルワークは、人と環境の交互作用を接点にして介入し、調整していくことが一番の特質です。個人の幸せな生活は、まわりの人たちとの関係性が良ければ満足度が高まりますし、それがなかったら生活はとてもつまらないものになるでしょう。元気な時には自分で調整できますが、調整や表現ができなくなる時もあります。その要因は、虐待もあれば、貧困、障がい、高齢、病気などさまざまです。
生態学的な視点を持って幸福度を見る
長期化するコロナ禍にあって、高齢者介護の入所施設などではADL(日常生活動作)や認知機能の低下が頻発しました。そこでは命と安全を守ることが最優先され、入所者が家族と面会したり、外へ出かけたりもできなくなりました。入所者には職員との一対一の関係だけでなく、家族や友人関係や活動・参加場面が、QOL(生活の質)を維持するために大切です。命と安全は大事ですが、それさえ守られれば、人は幸せなのかどうか。ソーシャルワーカーは、生態学的な視点で人を取り巻く環境との相互作用を見ながら、生活の満足度をいかに高められるかに焦点をあて支援します。
ミクロ・メゾ・マクロレベルの実践と理論の循環
ソーシャルワーク研究は実践に基づいた学問です。引きこもり、8050、ヤングケアラー、虐待、ゴミ屋敷、など、変化する実践の状況を現場の方々から受け取りながら、理論や研究と結び、課題解決に生かします。より多くの方々の実践を支えて、フィードバックを得ながら社会福祉学という学問を高めることは、当事者や家族の幸せに貢献することでもあります。ソーシャルワーカーが関わることによって幸せな生活を総合的に支援できるよう、相談支援だけでなく地域の社会資源開発や、行政施策や支援体制への反映、及び国の政策への提言などが行われています。
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先生情報 / 大学情報
大正大学 人間学部 社会福祉学科 教授 神山 裕美 先生
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