ネットメディアは国際関係にどんな影響を与えているのか
ネットメディアがもたらした功罪
近年、YouTubeやSNSなどのネットメディアを通じて政治や社会問題を発信し、情報収集することが当たり前になりました。それは小さなグループでも政治活動を行いやすくなる一方、悪い方向への影響も増していることを意味します。インターネットは地続きですから、日本人向けの動画を中国人や韓国人、アメリカ人が見ることもあり、中には日本人全体が同じ考えを持っているとみなす人もいるでしょう。その結果として、国際関係を悪化させてしまう可能性もあります。よくも悪くも、一本の動画が国のイメージを左右してしまうのです。
ナショナリストは増えているのか
ネットメディアを見ると日本でもそうしたナショナリストが増え、大規模なものと感じるかもしれませんが、実際は他国と比べると小グループが活動している現状です。また欧米では若者から年配の方まで幅広い年代が中心となって政治に対して意見しデモ等の活動を行うのに対して日本人は政治に対し表立って意見を言うことが少なく、デモも小規模で、あまり若者が多くないと感じます。他国では若者の方が感情的になる傾向があるため、欧米のデモは大学生や若者が中心なのに対して日本の場合は政治的主張を述べるより、争うことを避けたいという考えの方が強く働いていると見受けられます。
多様なナショナリズムと政治の在り方
ひとつの国の中でもさまざまなナショナリズムがあります。外国に対し強硬になるべきというグループ、戦争は絶対に避けるべきというグループもいれば、国際舞台での日本人の活躍やアニメ文化を誇るプチ・ナショナリズムもあります。ネットメディアはあらゆるナショナリズムを混在しやすく、政府がそれらの意見をくみ取ろうとし過ぎると、いわゆる「人気取り」的なポピュリズム色の強い政治となります。日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでもその傾向が強まっています。ネットメディアの影響力が強くなっていく中、為政者は難しいバランスをとることが求められていると言えるでしょう。
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神田外語大学 外国語学部 国際コミュニケーション学科 国際コミュニケーション専攻 講師 ジェフェリー ジェイムス ホール 先生
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