ビリケンも神に? 日本の信仰の不思議を知る

アメリカ生まれの神様、ビリケン
関西で人気の「ビリケンさん」は、もともとはアメリカで生まれたマスコットキャラクターでした。それが明治時代に日本に伝わると、次第に神としてあがめられるようになったのです。特に神戸市の松尾稲荷神社では、米俵の上に座った姿で祭られ、まるで七福神の一柱のように見えます。日本では、何かを神のようにあがめることで、それがいつしか神として定着していくことがあります。新しい神を柔軟に生み出す文化が根付いているのです。
人も神になる
日本では、人が神になることも珍しくありません。例えば、受験前に多くの人が訪れる天満宮では、菅原道真が学問の神として祭られています。ただし、道真公に日常から信仰を寄せるというより、必要なときだけ神に願いをかけるというのが、日本人に特徴的な信仰スタイルといえるでしょう。これは、西洋の宗教とは大きく異なる点です。キリスト教では、まず神を信じてから祈るという順序が一般的ですが、日本では「信じていなくても、とりあえず拝んでみる」、そして「願いがかなったから信じるようになった」というような信仰への柔軟なアプローチがみられます。一方で、お参りの作法や、お遍路での白装束といった形式を、信仰心そのものと同じくらい重んじる点も、日本の信仰の大きな特徴です。
日本の信仰の傾向
さらに日本では、木や山、米など、自然のあらゆるものに神が宿るとされています。例えば、和歌山県の熊野那智大社では、那智の滝そのものがご神体です。こうした信仰の背景には、物事に対する日本人の柔軟な姿勢があると考えられます。神とはこうでなければならないという固定観念がないため、身近な存在であっても神とみなされるのです。このように、多くの神々が共存することが、特定の宗教に強く依存しない傾向を生み出しているのかもしれません。そして、自由で多様性に富んだ日本の信仰のあり方は、現代社会の価値観とも通じるものがあると考えられます。
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