まずは行動してみることから国際協力活動が始まる
「自分にできることなどない」と決めつけない
国際機関やNGO(非政府組織)などに入り、その職員やボランティアとして国際協力活動をしたいという人は多いでしょう。ただ、実際に現地に行っても何もできないのではないか、ということを心配する人は少なくありません。2011年の東日本大震災のボランティア活動においてもそのような声が聞こえてきました。また、自分にはこれができると思って行っても、現地のニーズとずれていて思うような活動ができず落胆したり、力のなさに直面したりということもありえます。自分が現地でどのような役に立てるのかを、事前にあまり考えすぎると、なかなか行動に移せなくなってしまいます。そして、はじめから役には立たないと決めつける必要もありません。
わざわざ来てくれたということだけで助けとなる
2004年のスマトラ島沖地震によって大きな被害を受けた地域にインドネシアのアチェ州があります。アチェは長い間紛争状態にあり、地震当時、外国人が実質入ることはできない状況にありました。しかし地震、津波が起きたことによって、たくさんの外国人が支援に来るようになり、状況は一変しました。そのときアチェの人々は、外国人が物資を届けてくれたことはもちろんですが、それとは別に、外国人がわざわざアチェまで来てくれたということ自体をうれしく感じていたようです。
交流する中で作り上げられていく国際協力活動
国際協力活動は、もともと何か明確な目的があって、それを達成するというものだけではありません。まずは現地に行ってその地域の人やコミュニティと実際に交流する中で初めて、人々の思いや抱えている問題がわかる場合が多々あります。国際協力活動とは、本来はそうやって現地の人と支援者が互いに交流する中で、理解し変化し合って作り上げられていくものです。たとえ何ができるかはわからなくても、実際に行って、交流が生まれるということ自体に十分意味があるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
奈良県立大学 地域創造学部 地域創造学科 教授 亀山 恵理子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
国際協力論、開発学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?