お金の貸し借り、払いすぎた利息を取り戻せる?
借金の利息
民法は、貸し借りの契約について、消費貸借、賃貸借、使用貸借の3種類を規定していて、このうち、お金の貸し借りは消費貸借にあたります。友人にお金を借りた場合は、借りた金額である「元本」を返済日までに返せばよいことが多いですが、金融業者などとの金銭消費貸借においては、「元本」だけでなく「利息」も契約するのが一般的です。利息額は元本額と返済までの期間、そして利率によって決まります。その利率は、当事者間で自由に決めることができるというのが原則です。
利息を制限する法律
しかし、お金を借りる側(借主)は、金融業者に比べて立場が弱い傾向にあり、法外な利率を提示されても受け入れざるを得ないことが多いです。必要に迫られてお金を借りたその時は助かっても、そのうち苦しい返済に追われてしまい、生活が破綻する原因にもなります。そこで、「利息制限法」によって利率の上限が定められています。元本額が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上は年15%と段階的に上限が設定されており、これを超える利率を契約していたとしても、超える部分の契約は無効なので、借主は支払う義務はなく、仮に支払ってしまったとしても「過払金」として取り戻すことができます。
現代の日本でも
利息制限法に相当する法制度は、江戸時代以前の日本や古代ローマなどにも存在しています。それだけお金の貸し借りや利息の問題は普遍的なものといえます。現代の日本でも、利息制限法の存在を知らずに不当に多くの利息を支払う例や、闇金など悪質な金融業者が制限を超える利率を設定する例が見られます。こうした「利息制限」や「過払金」は民法研究のテーマの一つになっていて、例えば、目的や歴史的経緯を踏まえて、関連する法制度や判決の理論的な妥当性について分析します。そこで得られた知見を示すことで、不当な利息に悩む人の救済につなげることも、研究の大切な役割なのです。
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九州国際大学 法学部 法律学科 教授 菅尾 暁 先生
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