想像と行動でよりよい社会をつくる
届けたい人に寄付は届いてる?
大地震や紛争などで被災した人たちを助けたいと、寄付をする人は多いでしょう。では、寄付金のなかの「義援金」と「支援金」はどう違うのでしょうか。義援金は、日本赤十字社などに集められ、被災者に直接渡されるお金です。支援金は被災地で支援活動をする団体に渡り、物資やサービスの形で被災者に届きます。もしあなたが「被災者に温かい食べ物を早く届けたい」と思うなら、支援金の募金に寄付をするべきです。お金の寄付においては、困っている人が求めるものを想像し、最適な方法を確認して寄付することが大切なのです。寄付は気持ちだけではなく、責任も伴います。
市民の権利が守られる社会空間
日常でも、先を想像して行動することは大切です。社会には国や自治体などによる「政治社会」、企業が経済活動する「経済社会」、家族などの「市民社会」の3つがあり、そのなかで私たちは福祉や教育を受け、健康で文化的な生活を送る権利があります。しかしその権利が知らないうちに脅かされることもあるのです。
例えば福岡では市が管理する公園の再開発で、樹齢数十年の木を400本伐採する計画が市民への十分な説明がないまま進められました。伐採で市民が長年親しんできた自然が損なわれるだけでなく、生態系への影響もあります。この計画は市民による署名運動をきっかけに、一部の木を残して新たに植樹もする内容に見直されました。このように市民が自由に発言や行動ができ、権利が守られる空間は「シビック・スペース」と呼ばれ、そのありかたについての研究も進んでいます。
よりよい社会をつくるための「想像力」
シビック・スペースの実現に必要なもののひとつが、他者に対する想像力です。人の価値観の多様化が進む一方、困っている人に「自己責任」が問われてしまいがちです。しかし不確実性の時代と言われるなかで、いつか自分が「困りごとの当事者」になるかもしれません。他者に対する想像力を持って助け合い、市民の権利が守られた社会をつくることの重要性が高まっているのです。
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先生情報 / 大学情報
九州国際大学 現代ビジネス学部 国際社会学科 准教授 藤井 大輔 先生
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