契約書に紛れ込んでいる不当な契約条項は守る必要があるのか?
無自覚にチェックしている「同意します」
インターネットで動画サイト利用するとき、あるいは商品を買うとき、多くは「約款」と呼ばれる細かな契約条件に同意する必要があります。それをきちんと読んでいる人はあまりいないようにも思えますが、同意しなければ先に進むことができず、契約内容を認識しないままチェックしているのが現状です。
あらかじめ定められた約款には、トラブルを画一的に処理できるメリットがありますが、「一切責任を負わない」など企業側に極端に有利な契約条項が盛り込まれている場合もあります。その結果、高額な解約料を請求されるなど、意図しない契約条件を押し付けられることがあります。このような消費者の利益を一方的に害する契約条項を「不当条項」と呼び、それを無効とする「不当条項規制」というルールがあります。
消費者トラブルの原因は構造的な格差!?
そもそも契約をする際には、事業者との情報量・交渉力の構造的な格差があり、消費者が適切な契約内容の意思決定をすることなく、契約トラブルに巻き込まれることがあります。消費者の権利に関する法律の集まりを「消費者法」と言い、身近な契約トラブルを解決する様々なルールを定めています。
その際、どのような基準で不当条項を規制するのか、消費者と事業者のバランスをとり、お互いが納得できるルール作りが必要になります。その意味では、お互いが余計なトラブルを起こさないための規制とも言えるでしょう。
消費者法に期待されること
目まぐるしく変化する時代の流れとともに、次々と詐欺的な商法が登場して、消費者問題が絶えることはありません。つまり、消費者法の研究は、悪質商法との戦いとも言えます。日々進化する悪質商法をどのように規制して、消費者と優良な事業者の利益を確保するのかが、消費者法の課題です。消費者法に関する研究が活発になり、その精度が高められていくと、悪質な事業者を排除して市場の公正さを保つことができ、私たち消費者の安心と安全を守ることに繋がります。
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