心をカタチに変える極意。気配りがサービスに変わるまで。

心をカタチに変える極意。気配りがサービスに変わるまで。

何のためにサービスをするのでしょうか

接客の仕事に携わっているほとんどの人は「サービスをするのは、お客様に喜んでもらうため」と言います。そのために、ホテルでは清潔で肌触りがよい高品質タオルを客室に用意したり、スタッフは常に笑顔を心がけていたりするのです。サービス研究者の中には、モノによってお客様を満足させることを「物的サービス」、人の行為によってお客様を満足させることを「人的サービス」と分類する研究者もいます。また、スタッフがお客様を満足させるために行う行為は、カタチもなく(無形性)、その場で消えて(消滅性)しまうものですが、成熟化した社会では、無形のサービスでも形のある商品と同じようにお金と等価交換されます。

気配りはサービスの種

例えば、旅館の玄関に下駄を10足ほど並べるとします。あなたは、最初は見た目が美しくなるようズラリと一列に並べます。しかし、同じ形の下駄を隙間なく並べてしまうと、左右の組み合わせがわからなくなってしまいます。そこで、あなたはお客様が履き間違えることがないよう一足ずつ間隔を空けて並べます。さらに、気が利くあなたはお客様がバランスを崩さずに下駄を履けるよう、左右の下駄を10cmほど離して差し上げます。このように気配り(配慮行動)によって段階的に進化していくサービスを「ハイコンテクストサービス」といい、サービスが次のステージに進むための気配りの種(配慮行動)をあれこれと考えるところにサービス研究とおもてなしの面白さがあります。

気配りによって進化するハイコンテクストサービス

「ハイコンテクストサービス」が成立するには3つの条件があります。1つ目は、あるスタッフが行った気配り(配慮行動)をほかのスタッフが評価し、真似し始めること、2つ目は、みんなが真似するようになったサービスを「標準化されたサービス」としてルール化もしくはマニュアル化すること、3つ目は、「標準化されたサービス」をさらに進化させるための「配慮行動」を実行できる雰囲気や権限がチーム内にあることです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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九州国際大学 現代ビジネス学部 地域経済学科 教授 福島 規子 先生

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メッセージ

仕事は、簡単だとすぐに飽きてしまいますが、難しい仕事は決して飽きることはありません。つまり、仕事は難しいほうが断然面白いのです。接客は簡単な仕事だと思う人がいるかもしれませんが、決してそうではありません。簡単な仕事はすぐにAIやロボットに置き換えられてしまいます。でも、人が人に対して行う接客は、その国の文化や習慣、風習などが複雑に絡み合っていてとても奥深いものなのです。日本では「相手に気を遣わせないように気を配る」ことがもてなしの極意とされています。あなたならどんなもてなしを考えますか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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九州国際大学は、法学部法律学科、現代ビジネス学部地域経済学科/国際社会学科、大学院法学研究科の2学部3学科・大学院から構成される文系大学です。
『グローバルな視点を持ちつつ、ローカルな立場で行動できる人材。未来社会を生き抜く力を本気で鍛える大学。』として、地域の方々や企業との連携を密にして、生きた勉学を経験してもらい、地域社会の発展に貢献する人材の輩出、国際的視野を備えた人材教育を行っております。