低糖質食の落とし穴? 酸化ストレスを回避するには
低糖質食が抱えるリスクとは
生活習慣病の改善やダイエットに効果があるとして、日本でも「低糖質食」が話題になりました。ごはんやパン、うどん、パスタなどの糖質の量を減らすという食事方法です。この低糖質食は、肥満体の人にはある程度の効果があると認められていますが、肥満体ではない人が実施すると、逆にさまざまなリスクが生じることが、いくつかの実験によって明らかになってきました。
酸化ストレスが蓄積する原因
低糖質食では食事の中で糖質の占める割合を低く抑えますが、それによってタンパク質や脂質を必要以上に多く摂取する結果になりやすく、腎臓などに大きな負担がかかってしまいます。また、低糖質食を続けると、体内のバランスが崩れて抗酸化物質が不足し、動脈硬化や老化の原因となる「酸化ストレス」が蓄積しやすくなることもわかっています。
過酷なダイエットに取り組んだ人の肌が硬くシワシワになっている場合が多いのは、酸化ストレスの影響が大きいと考えられます。また、必要以上に過酷なトレーニングを続けることでも、人間の体には酸化ストレスがたまりやすくなってしまいます。
バランスのいい食生活と適度な運動
低糖質食をより安全な形で実施するには、タンパク質と一緒に摂取されることの多い脂質を、青魚などに多く含まれるより良質のものに置き換え、緑黄色野菜や果物、お茶などに多く含まれるポリフェノールをはじめとする抗酸化物質を積極的に取るという方法が考えられます。抗酸化食品を含むバランスのいい食生活をし、週に3日、30分程度ランニングなどの有酸素運動を行い、そして精神的なストレスもためこまないように心がけると、酸化ストレスの増加を抑制することができます。
おいしくて体にいい食物をバランスよく食べ、適度に体を動かして、日々を楽しく生活する、長く健やかな人生を送るには、そうしたごく基本的な心がけが大切なのです。
参考資料
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大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科 教授 蕪木 智子 先生
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