公立の小学校・中学校・高校に日本語教育のできる先生を
日本語がわからない子どもがたくさんいる
公立の小、中、高校には、日本語が充分にできない児童、生徒が増えています。2021年度の文部科学省の調査では、日本語が母語ではない児童、生徒が全国に58353人もいます。日本語が充分にできない子どもたちも、同年齢の子ども同士とのコミュニケーションなら、わりとすぐにとれるようになるでしょう。しかし学校で勉強していくには、日常会話とは別の知識が必要です。それが学習言語と言われるもので、教科学習に必要な言語能力です。
なぜ語彙を多く持つ必要があるのか
日本語を母語としない子どもは、日常会話は1~2年でできるようになりますが、授業をきちんと理解できるようになるまでには、5~7年かかるとされています。これは学習言語の習得の難しさを表しています。語彙(ごい)量の調査をすると、日本語が母語の子どもは、小学校卒業時に、すでに約2万語を知っています。それが中学校卒業時には3.5万語となり、成人では4~5万の語を知っています。つまり、そもそも日本語が母語の子どもと日本語が母語ではない子どもの語彙の量は、最初から大きいのです。また、大人になってからものごとを深く考えられるようになるためには、一定の語彙が必要なのです。
国をあげて対策に乗り出す
国内外で日本語教育の必要性が高まる中、「日本語教育の推進に関する法律」が、2019年6月28日に公布、施行されました。また、それに伴い、今まで、公教育で教えるには必要な教員免許のような公的な資格のなかった日本語教育の世界に、公的な資格をつくろうという動きが出てきました。その結果、近い将来(2024年以降)「公認日本語教師」という国家資格が新たに誕生する予定です。この資格ができることで、日本語教育の認知度も、今後、高まると思われます。また、一般的な教科を教える技術と、日本語を教える技術の両方を身につけた先生が増えていけば、日本へ来る外国人の子どもたちにとっても、教える側にとっても、状況は大きく改善されると期待されています。
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先生情報 / 大学情報
佛教大学 文学部 日本文学科 准教授 荻原 廣 先生
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