商品のパッケージデザインはマーケティング戦略次第
パッケージ・アイデンティファイア
お菓子や洗剤といった、消費者が日常的に購入する「最寄り品」のマーケティングにおいて、商品のパッケージはとても重要です。販売増につながるパッケージをデザインする際に、念頭に置くべきなのが「パッケージ・アイデンティファイア(PI)」という概念です。PIは、消費者が「パッケージの何を見て商品を認識しているか」を示すものです。
消費者は商品名を見ずに買う?
実験で、ロングセラーの最寄り品のパッケージを「A:そのままの画像」「B:文字情報を除いて抽象化した画像」「C:Bを白黒にした画像」「D:Bの色使いを変えた画像」の4パターンに加工し、被験者がそれぞれの画像を見て商品を認識するまでにかかる時間が測定されました。すると、AとBでは商品を認識する時間の差はほぼありませんでした。つまり消費者がお店でロングセラーの最寄り品を選ぶとき、左脳が使われる「文字情報」ではなく、右脳が使われる「絵柄や図柄」で商品を認識しているのです。日々の限られた時間で買い物をするとき、買い慣れた最寄り品の場合は、パッケージに書かれた商品名や説明をいちいち見ていないと言えます。
販売戦略に沿ったパッケージデザインを
最寄り品のパッケージには、「増量」や「期間限定」といった販売促進のための情報が追加される場合があります。これらがPIにどう影響するかを知るための実験では、競合する商品から買い換えようとする消費者(新規客)の注意は引くものの、買い慣れた消費者にはむしろノイズになり、商品を認識するのに時間がかかることが示されました。特に販促情報に使われる色が、PIの色と補色の関係にあると、その傾向が強まりました。ロングセラー商品のパッケージを何か変えるときには、ターゲットを新規客にするか既存客にするかなどの販売戦略に沿ったデザインにすることが重要です。PIを考慮せずにデザインを大きく変えた結果、既存客に認識されなくなり、売り上げを落とした例もあるのです。
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