商品のパッケージデザインはマーケティング戦略次第

商品のパッケージデザインはマーケティング戦略次第

パッケージ・アイデンティファイア

お菓子や洗剤といった、消費者が日常的に購入する「最寄り品」のマーケティングにおいて、商品のパッケージはとても重要です。販売増につながるパッケージをデザインする際に、念頭に置くべきなのが「パッケージ・アイデンティファイア(PI)」という概念です。PIは、消費者が「パッケージの何を見て商品を認識しているか」を示すものです。

消費者は商品名を見ずに買う?

実験で、ロングセラーの最寄り品のパッケージを「A:そのままの画像」「B:文字情報を除いて抽象化した画像」「C:Bを白黒にした画像」「D:Bの色使いを変えた画像」の4パターンに加工し、被験者がそれぞれの画像を見て商品を認識するまでにかかる時間が測定されました。すると、AとBでは商品を認識する時間の差はほぼありませんでした。つまり消費者がお店でロングセラーの最寄り品を選ぶとき、左脳が使われる「文字情報」ではなく、右脳が使われる「絵柄や図柄」で商品を認識しているのです。日々の限られた時間で買い物をするとき、買い慣れた最寄り品の場合は、パッケージに書かれた商品名や説明をいちいち見ていないと言えます。

販売戦略に沿ったパッケージデザインを

最寄り品のパッケージには、「増量」や「期間限定」といった販売促進のための情報が追加される場合があります。これらがPIにどう影響するかを知るための実験では、競合する商品から買い換えようとする消費者(新規客)の注意は引くものの、買い慣れた消費者にはむしろノイズになり、商品を認識するのに時間がかかることが示されました。特に販促情報に使われる色が、PIの色と補色の関係にあると、その傾向が強まりました。ロングセラー商品のパッケージを何か変えるときには、ターゲットを新規客にするか既存客にするかなどの販売戦略に沿ったデザインにすることが重要です。PIを考慮せずにデザインを大きく変えた結果、既存客に認識されなくなり、売り上げを落とした例もあるのです。

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先生情報 / 大学情報

目白大学 社会学部 社会情報学科 教授 長崎 秀俊 先生

目白大学 社会学部 社会情報学科 教授 長崎 秀俊 先生

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マーケティング学,ブランド戦略学

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メッセージ

日々の行動について、なぜそうしたのか考えるくせをつけましょう。例えばあなたがコンビニで飲み物を買うとき、多くの商品の中から「値段が安い」「手に届きやすい場所にあった」「おいしそうなパッケージ」などの理由で選んでいるはずです。何かを選んだり買ったりするとき、その背後には常に企業のマーケティング戦略があると言っても過言ではありません。マーケティングは身近な例から学び始めることができ、奥深く研究もできる学問です。ぜひ大学で、マーケティングの楽しさを味わってください。

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育てて送り出す―。本学はこの社会的使命を掲げ、多様に変化する現代社会を生き抜く人材育成を行っています。目白大学は平成6(1994)年の創設以来、社会の幅広い学究的要請に応える学問探求の場を提供しつつ、学部学科を増設し発展してきました。文系6学部を新宿キャンパス、医療・看護系の2学部をさいたま岩槻キャンパスに設置し、あわせて8学部16学科に約5,600余名が学んでいます。いずれのキャンパスも、豊かな緑と充実した施設設備で教育環境を整え、ひたむきな向学心と若い感性を育んでいます。