誰かと一緒にいる時、どう振る舞う? 子どもの心の発達を研究する
他者の存在は子どもの行動をどのように変える?
私たちは、周囲の人と関係を築き、他者とうまくやっていくために、自身の行動を調整しています。学校をはじめとする集団生活や社会生活では当たり前に行われていることです。例えば大人は、他者が自分に対してよい評判を持つように振る舞うことがあり、これを「評判操作」と呼びます。では、子どもも大人と同じように自分の評価を気にして行動しているのでしょうか? 他者の存在は子どもの行動にどのような影響を与えるのでしょうか?
子どもを対象とする実験の難しさと面白さ
子どもの心の発達を明らかにすることは、発達心理学の大きな研究テーマの1つです。多くの研究者によってさまざまな研究が行われていますが、子どもを対象とした心理学実験では、子どもが実験の内容を理解し、かつ、楽しんで参加できるように工夫を凝らす必要があります。大人が対象の実験とは違った難しさがありますが、それも発達心理学の研究の醍醐味の1つです。そして、さまざまな条件下での検討を重ねることで、子どもの世界の見方に迫っていけることが発達心理学の面白さだといえるでしょう。
周囲のことをチェックしている子どもたち
5歳児が対象の評判操作の研究では、子どもは「けち・不親切」といったマイナス評価を避けるために、他者に見られているときにはネガティブな行動を控えたという結果が報告されています。別の研究では、「自分の仲間ではない大人」のルール違反行為を見ていた7歳児が権威者に告げ口をした、という結果があります。逆に自分の仲間なら不正も見逃してあげるというのです。幼児期・児童期の子どもでも自分と他人との関係を踏まえて自分の行動を調節している、ということが実験によって明らかにされました。
子どもの行動は環境やさまざまな要因によって変わりますが、その場の状況に応じて柔軟に行動を変えることができるというのは非常に興味深い結果です。「こんなこと子どもは気にしてないだろう」と思うようなことでも、子どもたちはしっかりチェックしているのです。
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先生情報 / 大学情報
専修大学 人間科学部 心理学科 准教授 池田 彩夏 先生
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