災害発生! そのとき、救急救命士は?
「緊急消防援助隊」として災害現場に
救急救命士の仕事の多くは、通常は119番通報から始まります。救急車の出動要請があると現場に駆けつけ、迅速、的確に傷病者の観察、処置を行い、そして、必要があれば医師の指示の下に救命処置を行い、症状に応じた適切な医療機関に搬送します。
一方、大規模な災害や事故が発生したときは、「緊急消防援助隊」の一員として現場に向かいます。緊急消防援助隊とは、同隊に登録した各都道府県の消防署が一丸となって地域を超えて消火、救急、救助などの活動にあたる部隊です。
医療資源が圧倒的に不足する災害医療
京都府緊急消防援助隊の場合、2011年3月11日の東日本大震災では、府内の参集場所に救急車両51台・隊員178名が集結しました。そして、多くの関係機関から被災状況や道路状況などについて情報交換をしながら東に進み、宮城県の南三陸町(みなみさんりくちょう)に到着したのは13日未明でした。
先着隊がまず行うのは、状況把握と安全確保、そして、患者の重症度・緊急度に応じて搬送・治療の優先順位をつける「トリアージ」です。一般的な救急であれば、患者1人に対して最大限の力を投入できますが、患者が多数発生する災害医療では、人的・物的な医療資源が圧倒的に不足するため、トリアージが行われるのです。先着隊は救急隊であることが多いため、救急救命士が多くその役割を担います。
求められるタフさ・優しさ
現場では常に状況を判断し、多くの情報を得て、困っている人を助けます。そこには、痛みに苦しむ患者だけではなく、心配して見守る家族、時には、親を亡くして泣いている子どももいます。大きな不安や悲しみに直面している人に対して、どんな言葉をかけ、どう接するか、救急救命士には体と心のタフさと同時に、人の心に寄り添う優しさも求められます。救急救命士をめざすなら、日頃から周囲の人を思いやり、行動することがその第一歩となるのです。
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先生情報 / 大学情報
明治国際医療大学 保健医療学部 救急救命学科 准教授 坪倉 寛明 先生
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