筋肉のメカニズムがわかると、スポーツにも高齢者にも活用できる
筋肉について知ると効率的なトレーニングができる
スポーツの能力を伸ばすには、私たちの体、特に筋肉について知っておくことが大切です。筋肉は身体運動を生み出す原動力です。短距離走や水泳といったスポーツごとに、必要な筋肉や有効な動かし方は異なります。また、筋肉はどのように活動するのか、運動に対してどんな反応を示すのか、どうしたら増やせるのかといった、筋肉そのものについて知っておくことも必要です。その知識をトレーニングに取り入れれば、効果的に能力を伸ばすことができるでしょう。
医療機器を使って筋肉のメカニズムを解明
こうした運動生理学は近年、より深く解明されつつあります。超音波機器や筋電図、MRI(磁気共鳴画像)といった医療でも使われる機器を使って、リアルタイムに運動中の筋肉の動きを測り、データ化し、分析した情報から解明していきます。また、筋肉は脳から伝達される信号によって動きますが、うまく使えていない筋肉もあります。その筋肉を使えるよう導けば、潜在的な運動能力を上げることもできます。
筋肉は運動に対して巧みに反応し、例えば「一度、筋肉痛になるとしばらく症状が出なくなる」といった適応能力があります。さらに、筋肉はアキレス腱(けん)などの腱とつながっており、連携して動きます。こうした働きも含めて筋肉のメカニズムを解明すれば、能力を上げるだけでなく、ケガ予防にも応用できるでしょう。
高齢者の健康寿命を延ばすことにも貢献できる
筋肉のつき方や、どれだけ増やせるかについては個人差があります。その要因がわかれば、一人ひとりの特性に合わせた効果的なトレーニングが可能になります。さらに、この研究は高齢者にも活用できます。転びやすい高齢者はどの筋力が弱っているのかを知り、その筋力を鍛える動きを解明すると、有効な予防策を提供でき、健康寿命を伸ばすことができます。
日本の運動生理学の研究は、世界的にみてもトップレベルです。さらに研究を発展させることで、スポーツはもちろん、高齢化する社会にも大きく貢献できるのです。
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先生情報 / 大学情報
静岡産業大学 スポーツ科学部 准教授 江間 諒一 先生
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