鍼灸師に求められる、施術以外にも大切なこと

鍼灸でスポーツ選手の体をケア
鍼灸(しんきゅう)は、選手の体の痛みをやわらげたり、けがの治癒を促進したりする効果が得られる治療法です。はりやきゅうでツボを刺激すると、血流が良くなるとともに、自律神経に働きかけて体を調整する効果もあるため、アスリートのコンディショニングに取り入れられています。また、筋肉の張りや動きにくさを放置していると、けがのリスクが高まるほか、プレーにも悪影響を及ぼします。鍼灸治療は筋肉の緊張をほぐしてスムーズな動きを取り戻すのに効果的で、けがの予防やパフォーマンス向上にも役立ちます。
体が発するSOSをキャッチ
ただ、鍼灸師によるアスリートのコンディショニングは、はりやきゅうの施術だけに意味があるわけではありません。鍼灸を含む東洋医学は、検査機器を使って診断を行う西洋医学と違い、体が発する情報から内面の異常をとらえて診断する医療です。この東洋医学の知見を生かして、選手自身が日ごろから自分の体に意識を向けて、早めに異変に気づいて対処できるようにサポートすることも、鍼灸師の大切な役割です。
具体的には、選手に普段から体の柔軟性や動作時の感覚を把握してもらうように促します。そのうえで、いつもより体が硬い、動かしにくいといった変化があればストレッチを行う、疲れているなら休養をとるなどの対策を積極的にとるように指導します。もちろん、必要に応じて鍼灸治療も行います。こうして選手と鍼灸師が二人三脚でケアすることで、より良い体づくりが実現するのです。
東洋医学の健康観
早めに異変に気づいてケアする習慣が身につけば、選手たちのけがに対する不安も軽減されます。コンディションが整ってパフォーマンスが向上した結果、今まで全国大会で勝つことができなかった社会人野球チームが優勝したケースもあります。
さらに、日々の暮らしの中で体を整えていく東洋医学の考え方は、アスリートだけでなくすべての人の健康づくりに役立ちます。鍼灸師は、このような健康観を育成する役割も担っているのです。
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先生情報 / 大学情報

明治国際医療大学鍼灸学部 鍼灸学科 講師吉田 行宏 先生
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