地震の原因となる活断層を発見して、災害リスクを下げる
各地に眠る未知の活断層
プレートの動きにより、地球の大地には常に大きな力がかかっています。その力によってできたずれを「断層」と言います。中でもここ数十万年の間に動いた形跡のあるものは「活断層」と言い、それが動くことが地震の原因となります。地震の多い日本には、まだ発見されていない活断層が数多く存在しています。わかりやすい場所にあるものもあれば、隠れていて詳しく調査をしなければ発見できないものもあります。例えば、山陰地方は活断層が少ないと言われていますが、中国地方全体で見ると地震が頻繁に発生しています。つまり、この地域にはまだ確認されていない活断層が複数存在するということです。
大地震も引き起こす、隠れ断層を発見するには
2000年に発生した鳥取県西部地震はマグニチュード7.3を記録した大地震で、2016年に発生した熊本地震と同程度の規模の地震です。それだけの規模の地震にもかかわらず、鳥取県の西部に活断層があることは知られていませんでした。活断層は地表にズレが現れてはじめて確認できるようになります。過去の地表のズレは航空写真等の地形判読によって特定されますが、中には過去のズレが浸食等により見えずらくなっている場所もあります。これらの隠れた活断層を発見するためには、現地をくまなく歩き綿密な調査をする必要があります。活断層を見つけやすいポイントとして沢が挙げられます。沢は常に水で削られており、基盤となる地層や岩石が地表に表れています。この地層や岩石にズレがないかを目視で確認しながら、活断層の有無を探っていくのです。
未知の断層を発見して地震リスクを低減
日本全国に数多く存在すると考えられている未知の活断層は、日々の地道な調査によって、少しずつですが発見されています。調査ではハンマーやクリノメーターという専用の道具を使い、地層を調べます。時間がかかるうえに労力の大きい作業ですが、地震大国の日本で暮らす以上は、活断層の場所を精確に把握して、少しでも地震災害のリスクを減らす必要があるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
島根大学 総合理工学部 地球科学科 准教授 向吉 秀樹 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
地学、防災学、地震学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?