スマートフォンで観光が変わる? 新たな視点で街を楽しもう

スマートフォンで観光が変わる? 新たな視点で街を楽しもう

ゲームプレイヤーが外へ飛び出すきっかけ

近年、観光のあり方が変化しています。海外や遠い場所をめざしたり、団体でにぎやかに旅したりという、これまでのものとは違い、身近な地域の魅力を考え、発信する新しい観光への取り組みが全国的に始まっています。例えば、位置情報をもとにしたデジタルゲームが今、人気です。ゲームのアイテムが観光名所に配置されているため、それを手に入れるためにスマートフォンを持って現地へ出かけてく必要があります。家でゲームをしていた人も、観光をするきっかけになっているのです。このように、観光も今後はネットメディアを活用した展開が大切になります。地域の魅力をゲームのプレイヤーに対して発信し、地域おこしにつなげるなど、従来とは観光の形が変わるとともに、その手法も進化しています。

昔の街をイメージするヒント

一方、有名な観光名所だけではなく、自分たちが住む地域を歩いてみようという動きも広がっています。例えば、大阪市郊外の住宅街で、スマートフォンを活用した「歴史まちあるき」が実施されたことがあります。とはいえ、昔から残っている景観はほとんどありません。川も治水工事のため流れる位置が変わり、都市計画や住宅開発によって区画整理も行われてきました。そこで、古地図を読み出せるスマートフォンのアプリを使い、現在の位置と昔の地図を重ねてみます。すると簡単に昔と今の景観が比較できます。今ではごく普通の坂道に思える場所も、もともとそこに村落があり、土地を嵩上げして水害から村を守っていたことがわかるなど、新たな発見をすることができるのです。

地元の特徴と文化を大切にしよう

このように街をじっくり歩いてみると、それぞれの地域にさまざまな特徴があるのがわかります。地元の祭り、地場産業、郷土料理など、地域の特徴や文化は地域資源であり、これを活用することが重要です。人々が地域に興味を持てるよう、さまざまなイベントを仕掛けたりツールを開発、活用することが求められているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 文学部 文化構想学科 准教授 天野 景太 先生

大阪公立大学 文学部 文化構想学科 准教授 天野 景太 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

文化資源学、観光学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私はあまのじゃくな性質で、人と同じことをやりたくないタイプの人間です。ゲーム性のある「まちあるき」の研究も10年くらい前から始めていましたが、「ああでもない、こうでもない」と人が考えていないようなことを試行錯誤しながら進めていくのが、とてもエキサイティングだと思っています。それが大学で学問を学ぶことの本質だと考えています。
本学では学部の壁、さらには文系、理系の壁を越えて、他分野の人からもいろいろな刺激を受けられます。あなたも我々と一緒にエキサイティングな学びを始めてみませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪公立大学に関心を持ったあなたは

2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が誕生しました。大阪市立大学、大阪府立大学は共に約140年の歴史ある大学であり、水都として交通の要衝であった大都市大阪とともに発展してまいりました。この地の利を生かし、理論と実際を有機的に結合することにより、両大学は大都市大阪で生活する人々が必要とする精神文化の発展や産業と経済の振興を担う中心機関としての役割を果たしてきました。本学はさらなる異分野を融合・包摂した新たな学問の創造と多様な世界市民の育成を目指します。