データを分析し、複雑な経済の動きを解明!
世の中にはたくさんの法則性が隠れている
「法則性」という言葉を聞くと、化学や物理などの自然科学を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は、人間社会の中にもさまざまな法則性が隠れています。経済学はそうした社会における法則性を、特に経済変動に注目しながら見つけようとする学問です。例えばコンビニでものを買ったり、カフェでアルバイトをして給料をもらったり、貯金をしたりといった行動も、経済全体の変動も、経済学で知られているいくつかの法則性で説明できてしまうのです。
コロナ禍で、ものの値段はどうなる?
しかし人々の経済活動は複雑にからみあっているため、法則性を使っても簡単には説明できません。例えば、2020年からのコロナ禍では外出の抑制や工場の操業停止、訪日外国人の減少などが起こり、経済活動の停滞が発生しました。しかし、こうした状況が物価を上昇させるのか下落させるのか、についての説明は容易ではありません。物価が変動する経路の一つとして、消費の落ち込みでものの売れ行きが悪くなり、ものの値段が下がるというものがあります。一方で、物流の逼迫(ひっぱく)や海外工場での生産減少などによって、ものを作るために必要なコストが増加し、値段が上昇するという経路もあるのです。
複雑な経済事象を解き明かす
コロナ禍で物価の上昇と下落のどちらが大きくなるのか、それは一時的なのか、また日本では欧米ほど物価が上がらないのはなぜかといった点が大きな議論となっています。こうした疑問を解明し適切な金融政策や財政政策などを見つけるために、「マクロ経済学」の分野では経済事象について多くのデータを集め、それにこれまで知られてきた法則性を当てはめて分析します。しかし、経済事象が複雑にからみあっていると分析は難しく、「もっとほかの要因がこの事象に影響を与えているのではないか」という疑念が生じるケースが多くあります。そのため、さまざまな分析手法やデータを用いて、信頼性の高い結果が得られるように研究が蓄積されています。
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先生情報 / 大学情報
専修大学 経済学部 現代経済学科 教授 古賀 麻衣子 先生
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