講義No.11832 経済学

データを分析し、複雑な経済の動きを解明!

データを分析し、複雑な経済の動きを解明!

世の中にはたくさんの法則性が隠れている

「法則性」という言葉を聞くと、化学や物理などの自然科学を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は、人間社会の中にもさまざまな法則性が隠れています。経済学はそうした社会における法則性を、特に経済変動に注目しながら見つけようとする学問です。例えばコンビニでものを買ったり、カフェでアルバイトをして給料をもらったり、貯金をしたりといった行動も、経済全体の変動も、経済学で知られているいくつかの法則性で説明できてしまうのです。

コロナ禍で、ものの値段はどうなる?

しかし人々の経済活動は複雑にからみあっているため、法則性を使っても簡単には説明できません。例えば、2020年からのコロナ禍では外出の抑制や工場の操業停止、訪日外国人の減少などが起こり、経済活動の停滞が発生しました。しかし、こうした状況が物価を上昇させるのか下落させるのか、についての説明は容易ではありません。物価が変動する経路の一つとして、消費の落ち込みでものの売れ行きが悪くなり、ものの値段が下がるというものがあります。一方で、物流の逼迫(ひっぱく)や海外工場での生産減少などによって、ものを作るために必要なコストが増加し、値段が上昇するという経路もあるのです。

複雑な経済事象を解き明かす

コロナ禍で物価の上昇と下落のどちらが大きくなるのか、それは一時的なのか、また日本では欧米ほど物価が上がらないのはなぜかといった点が大きな議論となっています。こうした疑問を解明し適切な金融政策や財政政策などを見つけるために、「マクロ経済学」の分野では経済事象について多くのデータを集め、それにこれまで知られてきた法則性を当てはめて分析します。しかし、経済事象が複雑にからみあっていると分析は難しく、「もっとほかの要因がこの事象に影響を与えているのではないか」という疑念が生じるケースが多くあります。そのため、さまざまな分析手法やデータを用いて、信頼性の高い結果が得られるように研究が蓄積されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

専修大学 経済学部 現代経済学科 教授 古賀 麻衣子 先生

専修大学 経済学部 現代経済学科 教授 古賀 麻衣子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経済学、マクロ経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたが普段何気なく行っている「ものを買う」「アルバイトをする」といった行動は、実は企業による生産・販売活動と直接つながっています。そしてこうした行動は、ものの値段や海外の経済状況、政府の政策などにも反映され、その影響が私たちの生活にブーメランのように戻ってきます。
このような「経済社会全体の循環メカニズム」について、視野をめいっぱい広げて学んでほしいです。経済学を学ぶことで、話が通じる仲間を見つけやすくなり、海外の人とも考え方を共有する機会が増えるでしょう。

先生への質問

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専修大学に関心を持ったあなたは

専修大学は、1880年(明治13年)に経済科と法律科からなる専修学校として創立されました。「経済科」は日本初の、また「法律科」は私学で初の高等教育機関でした。2024年に創立145年を迎える、日本でも屈指の伝統を持つ大学です。社会科学、人文科学、総合科学、の3系統、8学部20学科からなる社会人文系総合大学として、「自ら問題を見つけ主体的に解決する知力」と「人間力」、「倫理観」を持った人材を育成しています。まずはオープンキャンパスの大学紹介や模擬授業に参加して、大学の雰囲気を体感してみてください。