人口が減少する日本、経済はどうなる?
世界の人口は増え、日本の人口は減る傾向に
2014年現在、日本の人口は約1億2700万人、世界の人口は約70億人です。
人類が誕生した紀元前から現在までの世界人口推移を見ると、19世紀までは大きな増加は見られず、20世紀半ばから急激に増えています。この主な原因は、多くの国で医療や栄養水準が飛躍的に向上し、死亡率が下がったためです。今後も人口は増え続け、2050年には約91億人になるとの予測があります。
日本の人口も同様に、1900年代後半から急速に増えましたが、2005年から減少し始めました。これは主に出生率の低下が原因と考えられます。
人口の経済に対する影響
人口が増えると、経済にさまざまな影響を及ぼします。
人口増加の悪い影響として、ほかの条件が一定の場合、分母となる人口が増えるため一人当たりの所得が低下します。また、出生率が上がると、子どもへの消費によって貯蓄や投資が減り、経済成長を悪化させることがあるのです。
一方、良い効果として、労働力が増え、分業や競争が起きて生産力が向上します。また、若年層が増えると新商品への感応が高まり、市場が活性化します。さらに、1万人に1人いると言われる天才も、100万人なら100人になります。人口の増加は、技術進歩を創出する効果があり、この効果は非常に大きいと言われています。
日本の今後の課題
いま日本の人口は、減少の傾向にあります。このため、労働力の減少、技術進歩の停滞などにより、経済の縮小が懸念され、さらに少子高齢化による年金、医療、介護などの問題も深刻になると予想されます。
そこで今後の課題として、まず挙げられるのが出生率の向上です。児童手当や保育所など、育児支援のさらなる充実が望まれます。そして、長寿化の利点を生かすことです。健康な高齢者の労働や、老後に向けた貯蓄は、経済の成長につながります。また、質の良い教育などにより技術進歩を促すよう努力することも必要です。さらに、資源や環境にも配慮し、一時的でなく持続的な経済発展をめざすことが大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 経済学部 経済学科 教授 衣笠 智子 先生
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