世界の70%の国々で日本語が学ばれている
多様な学習者、多様な環境
日本語教育の目的は、日本語を母語としない外国人が日本語を知り、その技能を身につけて使えるようになることです。日本語の教え方はさまざまですが、日本国内では、最初にひらがなやカタカナの読み書きができるようになってから、会話や文法に入っていくのが一般的です。しかし、このやり方だと、例えば海外で週に1、2時間ほどの授業を受ける学習者は、日本語があまり話せるようにならないままコースを終わってしまうことがあります。そのため、学習者のニーズや環境に合わせた教え方が求められています。
各国の方針や学習者のニーズに合わせて
考え方を柔軟にし、文字を覚えるのは後回しにして、ローマ字を使って会話を学ぶことから始める日本語教育もあります。シンプルなやりとりでも会話は成り立つので、達成感や自信が生まれます。日本人の日常生活がわかるビデオを見せたり、母語も使ってディスカッションをしたりするなど、学習目的や環境、条件に応じた教材・教え方が使われています。その国の実情に合わせた教材の開発は、日本語教育の分野の研究テーマの一つとなっています。
現地の教師のサポートも
国際交流基金(JF)の調査によると、日本語は海外の140の国々で学ばれ、学習者の約半数は中高生です。多くの国で、子どもたちの将来を考え、日本語が教えられているのです。日本と経済的なつながりがあり、日本人の勤勉さや規律正しさを学ばせたいといった理由もあれば、学習者自身も日本のアニメや漫画が好きという理由もあります。
海外で日本語を教えている教師の80%ほどが、日本語を母語としない人たちです。正しい言葉や今の日本を教えたいと悩む教師たちを、ネイティブの日本人がサポートすることも、日本語教育の一環です。
日本語教育を学ぶことで、外からの視点で日本や日本語を見ることができ、さらに自身の外国語学習を振り返る機会になります。学んだことは身近で日本語を学ぶ外国の人たちを応援することにも役立ち、社会貢献にもつながります。
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先生情報 / 大学情報
専修大学 国際コミュニケーション学部 日本語学科 教授 八田 直美 先生
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