誰も取りこぼさない授業をめざして 伝えたいスポーツの楽しさ

誰も取りこぼさない授業をめざして 伝えたいスポーツの楽しさ

誰もが楽しめるスポーツ

体育やスポーツに苦手意識を持っている人は珍しくありません。こうした人にも体育・スポーツの楽しさを感じてもらうためには、どのような授業を行えばいいでしょうか? ヒントとなるのが「アダプテッド・スポーツ」の視点です。年齢や性別、障がいの有無にかかわらず全員が参加できるように、ルールや道具を工夫するものです。従来の体育では人がルールに合わせてプレイしていました。そのため、障がい等の何らかの要因で既存のルールに合わせることが難しい人は、スポーツを楽しめず、参加できず、苦手意識を持ってしまいます。しかし、内容を工夫すれば、体育授業やスポーツ活動からこぼれてしまう人を減らせる可能性があるのです。

スポーツそのものの楽しさを味わう

例えば、バレーボールは固いボールが勢いよく飛んでくるため、「怖い」、「痛い」と思う人もいます。これに対し、ボールを柔らかい素材に変える事例は保健体育の授業づくりでもよく見られます。いきなり公式球を使うのではなく、まずはバレーボールそのものの楽しさを知ってもらうのです。
教師はそれぞれの授業で様々な工夫を試みていますが、「本当にこの方法でいいのか」と自信を持てないことも多いようです。研究者が事例を分析し、効果などを証明すれば、教師の背中を押すことができるでしょう。

教師への指導も大事

アダプテッド・スポーツの具体的な方法は、教科書のように一般化することが困難です。参加者の実態や悩みに応じて、個別の対応が求められるからです。例えば車いすに乗った人と一緒にスポーツをする場合、上半身がどの程度動くのか、握力がどのくらいか等によってアプローチが変わります。過去に同様の指導経験があっても、その方法が通用するとは限りません。それでも体育が苦手な人への指導方法や経験の引き出しが増えれば、教師は多角的な視点で授業内容を考えやすくなります。まずは体育教師の中でアダプテッド・スポーツの考え方が当たり前となり、引き出しを増やす取り組みが求められています。

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先生情報 / 大学情報

大阪体育大学 教育学部 教育学科 准教授 曽根 裕二 先生

大阪体育大学 教育学部 教育学科 准教授 曽根 裕二 先生

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教育学、健康・スポーツ科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学は、決まった方法や明らかな答えがない問題に向き合う場所です。積極的に自ら学ばなければ何も得ることができず、なんとなく4年間が過ぎていくでしょう。その一方で、学ぼうとすればとことん深めることができる環境でもあります。勉強していく中で、あなたなりの方法や答えを見つけてほしいです。
将来の夢があっても、最短ルートで進もうとしなくていいと思います。ときには足踏みしたり、一歩戻ったり、大回りしたりしても構いません。いつか夢をかなえるとき、それらの経験がきっとあなたの役に立つと思います。

先生への質問

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大阪体育大学は、1965年に関西初の体育大学として開学しました。
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教育学部では、3コースを設置し、幼稚園、小・中・高等学校、そして特別支援学校で活躍できる教員を養成します。