スポーツや運動教育の場で求められるアスレティックトレーニング学

スポーツや運動教育の場で求められるアスレティックトレーニング学

幅広い分野で活躍

選手のコンディショニング管理やケガの防止、競技復帰までのアスレティックリハビリテーション、トレーニング研究など、スポーツや運動の分野における専門的な理論と知識を研究する学問が「アスレティックトレーニング学」です。「アスレティックトレーナー」という資格のベースにもなっており、プロ野球やJリーグといった競技サポートの世界で基盤となる学問です。ほかにも介護医療や学校での運動指導の現場、安全なスポーツ環境の整備など、幅広い分野でアスレティックトレーニング学を身につけた人材が活躍するようになりました。

身体的なパフォーマンスを科学的に追究

この分野では、解剖学や運動生理学などの知識と理論をベースに、スポーツにおける身体の動きが研究されています。例えば、剣道の初心者は腕の筋肉を使って竹刀を振りますが、経験者はより大きな背中の筋肉を使います。また、ものを引く動作においても、腕の筋肉だけを使うよりも、身体を回旋させて引くなり、脚の力も利用しながら引く方が、強く引くことができます。以前のスポーツの現場では、こうした動きの指導はしばしばコーチや選手の主観、経験に委ねられてきましたが、身体のどの部分をどう使えばより高いパフォーマンスが得られるのかを科学的に解き明かし、理論化するための研究が行われています。

安全なスポーツ環境づくり

近年、スポーツや学校のクラブ活動では特に安全性が重視されるようになりました。ラグビーや野球、サッカーといった競技では、脳震盪(のうしんとう)が起こりやすい接触プレーを制限し、試合中に脳震盪を起こした選手を一定時間休ませるといったルールが普及しています。また、練習や試合で手足をねん挫した際も、体の構造やけがに対する専門的知識をベースにテーピングされるなど、より適切なケアが行われるようになりました。
こうしたルールづくりやケアを通して、誰もが安心してスポーツに打ちこんだり、楽しんだりする環境を整えていくことも、アスレティックトレーニング学の大切な役割です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪体育大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 アスレティックトレーニングコース 准教授 有吉 晃平 先生

大阪体育大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 アスレティックトレーニングコース 准教授 有吉 晃平 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

アスレティックトレーニング学

先生が目指すSDGs

メッセージ

ただ筋肉を大きくするだけでは、競技スポーツの直接的な競技力向上を望むことはできません。運動動作はそれほど単純なものではありません。「なぜこのような練習をするのか」と考えたり、「なぜあの選手は遠くにボールを投げられるのか」と動きを観察したりしてみてください。
「なぜ?」という疑問をもち、その答えを自分自身で考え続けることは、競技力を上げることにつながりますし、「学び」という行為を楽しくしてくれるでしょう。

先生への質問

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大阪体育大学は、1965年に関西初の体育大学として開学しました。
2024年、体育学部は「スポーツ科学部」へ生まれ変わります。確かな情報やデータに基づく科学的な視点からスポーツの学びを深めていきます。6つのコースから専攻を入学後に選べる仕組みに変革。さらに副専攻制度も導入。より幅広く実践的に「スポーツを科学する」学びを通じて、豊かな創造力と挑戦心で未来を切り開く人材を養成します。
教育学部では、3コースを設置し、幼稚園、小・中・高等学校、そして特別支援学校で活躍できる教員を養成します。