入札した額を払うとは限らない!? オークションのルール設計
せり上げとせり下げ
オークションは、出品されたモノの価格を見つけるための手段です。個人が出品できるインターネットオークションのほかに、市場でのせりなどもオークションに当たります。オークションにはさまざまなルールがあります。イメージしやすいのは「せり上げ式」でしょう。開始価格から入札する人が価格を上げていき、最終的な高値を付けた人が出品物を手にします。それに対して「せり下げ式」は、開始価格を高い価格から始めて徐々に価格を下げ、最初に手を挙げた人が出品物を手にできます。この方式は花の卸売市場などで使われています。早く決まりやすい半面、せり上げ式よりもどこで入札するかの判断が難しくなります。
2番目の価格を支払うオークション
また、他の入札者には見えないように封筒に入れるなどして入札し、その中から最高価格を選ぶ封印型のオークションもあります。これは裁判所が差押え品を払い下げる時などに使われます。封印型では、他の入札者がいくらの額を記入するかを予想しながら、それを上回りつつなるべく低い額を入札しようと考えます。しかし、入札者全員がそう考えてしまうと希望購入価格とは異なる価格を提示してしまい、また一番評価している人が落札できないこともあります。それを解決するために、第二価格オークションという方式が考案されました。最高価格をつけた入札者は、2番目に高い入札額を支払うというルールです。それにより、入札者は素直に自分が払える最高額を入札でき、出品者は安定した収益を得られます。
ゲーム理論で設計する
オークションの目的によって用いるべきルールが異なります。収益が高くなるのがいいのか、最も出品物を欲しがっている人の手に渡るようにするのがいいのか、目的はさまざまです。オークションのルールはゲーム理論という学問を使って設計されます。ゲーム理論は、このようなまさに人の行動がお互いに影響を及ぼすような状況を分析する学問なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
横浜市立大学 国際商学部 国際商学科 准教授 中村 祐太 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
国際商学、経済学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?