「ネットオークション」と「フリマサイト」、売るならどっちがお得?
「即決価格付きオークション」って?
着ない服をネットで売る場合、ネットオークションとフリマサイトのどちらを選びますか? ネットオークションは、買い手が値付けをする方法です。それに対してフリマサイトでは、売り手が値付けをします。さらにこの2つのハイブリッド(組み合わせ)といえるのが、「即決価格付きオークション」です。売り手が設定した即決価格であれば、買い手がただちに落札できるという仕組みです。即決価格付きオークションを使い、通常のオークションよりも高く売ることができるのはどのような場合なのか? この条件が研究によって明らかになっています。
なぜ高くても売れるの?
即決価格付きオークションで高く売れるケースは、大きく2つあります。1つは、買い手がせっかちなケースです。ネットオークションでは入札期間が設定されていますが、せっかちな人は期間終了まで待てずに、多少高くても買おうとします。売り手はそれを見越して即決価格を高く設定するので、結果的に高く売れるのです。もう1つは、買い手がリスクを回避するケースです。欲しい物を自分が落札できないというリスクを回避するために、高めに設定された即決価格でも買おうとするのです。経済学における「リスク回避性」の概念が、この行動に当てはまります。
鳥の目と虫の目、理論と実験が大切
どんな即決価格を付ければ高く売れるのかを、理論的に示すために使われるのが「ゲーム理論」です。ゲーム理論を使った数学モデルを作り、理論値を算出していきます。ネットオークションの理論研究は、経済学のなかでは比較的新しい研究分野であり、研究すべきテーマが数多くあります。また、ネットオークションの仕組みそのものも目まぐるしく変わるため、全体の動きを俯瞰(ふかん)的にとらえることも必要です。さらに、ネットオークション研究を深めるためには、理論に基づいた予測を実験で検証するプロセスも大切です。ものづくりのように「鳥の目と虫の目」「理論と実験」といった視座を持ちながら進めていく研究だといえます。
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大東文化大学 経済学部 社会経済学科 教授 土橋 俊寛 先生
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