国境を越えて税をかける国際連帯税
地球の諸問題を解決するために
私たちの住む地球は貧困、温暖化といったさまざまな問題を抱えています。いずれも一国単位でどうにかなるものではありませんし、解決するには莫大な資金が必要になります。そんな中、いま世界的に注目を集めているのが「国際連帯税」です。国際連帯税とは発展途上国向けの開発資金を調達するために、国境を越えて展開する経済活動に対して課税をしようという構想です。
飛行機に乗ると航空券連帯税が課税される
国際連帯税の課税方法には、炭素税、航空券連帯税、武器取引税、通貨取引税などのいくつかの案がありますが、航空券連帯税は既に実施されています。例えばフランス、韓国などで導入されていて、フランスの航空券連帯税はビジネスクラス約5000円、エコノミークラス約500円です。韓国の場合はクラスにかかわらず国際線に約200円課税をしています。
徴収は各国で行いますが、税金はUNITAID(ユニットエイド=国際医薬品購入ファシリティ)という国際機関に集められ、HIV、マラリア、結核などの治療薬の購入資金に充てられます。安定した財源があれば、大量かつ長期的に購入することができるため、そのぶん薬の値段を劇的に下げられ、感染症に苦しむ多くの人たちを救えるのです。
しかし、国際連帯税は航空券連帯税という形でスタートしたばかり。今後、メインとなるのは多額の税収が得られる通貨取引税です。
日本でも議論が始まった
国際連帯税を実現させようという国々の集まりを「リーディング・グループ」と言い、フランス、ブラジル、チリ、ノルウェーを中心に現在59カ国が加盟しています。日本は2008年2月に超党派で「国際連帯税創設を求める議員連盟」が発足し、同年9月にリーディング・グループに入りました。さらに通貨取引税を実現させるためのチームであるタスクフォース(12カ国)のメンバーにもなりました。
日本は2010年に入り、リーディング・グループの議長国になりました。今後、日本がどのようなイニシアチブを取るのか、注目を集めています。
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