AIが賢くなったのはスマホのおかげ? AIの進化と未来
スマホの登場がAIの進化を後押し
AI(人工知能)の進化には目覚ましいものがあります。AIの研究は1950年頃にはすでに存在していましたが、1990年代にインターネットが普及し、一般の人がブログやSNSで広く情報発信をするようになり、ネット上の情報が増加しました。爆発的に飛躍したのは2012年頃から「ビッグデータ」が使えるようになったことです。とどめが、スマートフォンの普及です。人々がスマホに触れば触るほど、世界中の情報がビッグデータに蓄積されるのです。そのデータを処理するコンピュータの性能向上も、AIの進化にひと役買いました。
AIがもたらす認識技術や翻訳技術
最近のAIは、ビッグデータの情報を、コンピュータが人間の脳のように学習する「ディープラーニング(深層学習)」から成り立っています。データの蓄積が多いほど、精密な解析が可能になります。その成果が現在、画像や音声の認識、自動翻訳といった形で現れているのです。またビッグデータの蓄積から、AIが一人ひとりの好みを解析し、ネット広告の表示などに利用されています。データが増えれば増えるほどAIは賢くなります。IT企業もどんどんお金を投入し、より高度なAIを競って作っています。
買い物や旅行が「顔パス」で可能に?
AIによる認識技術は、セキュリティ分野も変えようとしています。指紋認証や静脈認証に続いて、顔の画像認証が実用化されました。しかし顔写真をデータとして広く利用することはプライバシーの点で問題もあるため、声紋認証の技術開発も進んでいます。他にも個人の行動データなどを解析して認証技術に生かす研究もあり、いつか個人を証明するものを何も持たなくても、買い物や旅行ができるようになるかもしれません。
声紋認証の技術をテキスト(文章)に応用する動きもあります。文章にあるその人固有の特徴を、AIが解析するのです。実現すれば、贋作の判定はもちろん、最近問題になっている「フェイクニュース」も見抜くことができるようになるでしょう。
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横浜市立大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 教授 越仲 孝文 先生
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