データが教えてくれる人の心理と行動
ビッグデータが明かす人々の本音
企業や自治体などの組織には、さまざまなデータが蓄積されています。例えば、ポイントカード作成時に登録する生年月日や居住地、携帯電話の契約記録や通信履歴などです。これらの情報を分析することで、人々の行動パターンや心理を予測することができるのです。
企業では、こうした膨大な量の顧客データを利用してマーケティング戦略を立てています。例えば携帯電話会社では、通信履歴などから解約しそうな人を予測して、事前に対策を打つことで解約防止に役立てています。データを分析することで、表面化しにくい人々の本音を知ることができるのです。
「オススメ」の工夫
インターネット上の旅行サイトや通販サイトでは、ユーザーの閲覧履歴や購買履歴を分析して、好みに合わせた商品やサービスを「オススメ」しています。しかし、単に人気の商品を表示するだけではユーザーの関心は高まらないので、旅行サイトでは「まだあまり知られていないけれども魅力的な宿泊施設」をオススメするような工夫を行っています。ユーザーの検索履歴を分析して詳細なニーズや好みを推定し、それに合った「意外な」宿泊施設を提案することでユーザーの心をつかんでいるのです。
肝になるのは課題の発見
このように、ビッグデータの分析により経営戦略の立案や課題解決を行う取り組みは、「Business Analytics」と呼ばれています。具体的には、生データをきれいに整えるデータクレンジングと呼ばれる作業から、情報技術を活用した抽出・加工、そして数理統計学を駆使しての分析、というプロセスです。最も重要なのは、その前段階において、現場の人々とのディスカッションから課題を発見して、それを解決するための適切な手法を提案することです。
今後は、人工知能(AI)技術をさらに活用して、データだけではなく、ユーザーコメントなどのテキストデータや画像・動画データも活用して、顧客満足度をより高める手法も開発されていくことが期待されます。
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先生情報 / 大学情報
宇都宮大学 データサイエンス経営学部 データサイエンス経営学科 准教授 坂巻 英一 先生
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