言語や文化が異なる相手とのコミュニケーションで大切なことは?

言語や文化が異なる相手とのコミュニケーションで大切なことは?

状況で異なる「すみません」の意味

「異文化コミュニケーション学」とは、言語や文化が異なる相手とのコミュニケーションについて学ぶ学問です。それなら言葉を学べばいいのでは?と思われるかもしれませんが、それだけでは難しいのです。
英語の学習では、英単語を日本語との対訳で覚えることが多いでしょう。しかし、実際に外国人とコミュニケーションする場面では、この対訳が必ずしもマッチしないことがあります。例えば、日本語の「すみません」という言葉を外国人は、謝る意味の言葉だと思っていますが、ありがとうの意味で使われることもありますし、呼びかけるときに使われることもあります。ですから、言葉そのものの意味だけでなく、コンテクスト(背景や状況)を考えることが大事になってくるのです。

その言葉を使う人の文化的背景も考える

また、その国の価値観や考え方も影響します。同じことを言う場合でも、英語圏や中国語圏の人はストレートに、日本人は遠回しに伝えるスタイルが一般的です。どちらが良い、悪いではなく、そういう文化の違いがわかっていれば、コミュニケーションにおいて工夫ができます。
日本語、中国語、英語は言語として似ているところが多いです。日本語と中国語は共に漢字を使っていますし、また、現代中国語の文法は英語と似ていますので、英語を学んでいる日本人学生にとっては中国語を習得しやすいでしょう。

相手を理解する前に「違いを認めること」が大切

留学や仕事で外国に住むことになった人は、その国の文化に入り込もうとします。新しい文化を取り入れることは良いことですが、完璧に理解するのは難しいでしょう。理解する前に、「違いを認めること」が極めて大事です。相手を理解できなくても、お互いに違いを認めることができれば、コミュニケーションはうまくいきます。違いを認めると、自分も変化するのです。アイデンティティーは変わっていくものですから、違いにこだわるのではなく、認め合うことが大切なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 グローバル学部 グローバルコミュニケーション学科 教授 アルバート R. チョウ 先生

武蔵野大学 グローバル学部 グローバルコミュニケーション学科 教授 アルバート R. チョウ 先生

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異文化コミュニケーション学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は言葉が好きだったので、高校2年生のとき、通訳や翻訳の分野のトップである国連の同時通訳になりたいと思っていました。そのためにはどこの大学がよいかと考えて進学先を選びましたが、同時通訳は体力的に長く続けられないと考え直して、教員になったのです。
言葉の勉強は終わりがなく、生涯を通してする「ライフ・ラーニング」です。言葉を勉強することで、新しい文化の扉を開くことができます。すると、刺激を受けて自信が生まれ、そして前に進むことができます。言葉を学ぶことは、人生を豊かにすることにつながるのです。

先生への質問

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武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。