従来の授業がすべてではない! 規範を見直すノンフォーマル教育
グローバルな教育の変化
世界にはさまざまな教育が存在しています。例えばグローバルな教育です。世界の子どもたちに教育を提供するための取り組みで、ユネスコやユニセフなどが行う教育キャンペーン、OECDの国際学力調査などが挙げられます。
グローバルな教育を推進するとき、1980年代までは先進国の教育を新興国にそのまま持ち込むアプローチが多く見られました。先進国の教育を世界に広めれば、経済発展につながると思われていたからです。しかしうまくいかなかったため、1990年代以降は状況に合わせた多様な教育が重視されるようになりました。
ノンフォーマル教育って?
そうしたアプローチのひとつとして、国が定めたカリキュラムにとらわれないノンフォーマル教育(NFE)があります。国が行う教育では、「入学式には奇抜な格好をしない」などの社会的な規範を教えることも重視されています。社会的な規範が強化されることを「再生産」と呼びます。一方でNFEは、再生産を認めながらも、「それだけが教育ではないのでは?」と問題提起しました。社会の中には誰かが決めた規範に影響を受けている場面がある、と改めて考えることも大切にしたのです。ただ、そのため国によっては反体制派の活動に利用された過去もあり、1980年代にはNFEにいい印象を持たないときもありました。
ノンフォーマル教育が進んだ理由
二流の教育というイメージのあったNFEですが、多様性のある教育を広めていく過程で見直されてきました。2000年以降は学校教育のノンフォーマル化も見られます。その理由のひとつが、柔軟な学習が重視されたことです。地域の資源を活用した実習を行うなど、従来にとらわれないプログラムを取り入れる学校もあります。さらに教育の認証制度が整備され、ホームスクーリングなどの学校以外で行う教育が許容されました。こうしたNFEの効果や実践方法などの研究は、今後さらに重要性が高まっていくはずです。
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上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科(SPSF) 教授 丸山 英樹 先生
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