特技や「好き」を生かして心にもアプローチする作業療法

特技や「好き」を生かして心にもアプローチする作業療法

どんな活動もリハビリの種に

心の病気で入院しているAさんは料理好きで得意ですが、気持ちの落ち込みもあって「心の病気にかかってしまった負い目」を感じています。またBさんも心の病気で入院していますが、症状がよくなり、退院に向けて料理やそうじなどの生活スキルを身につけようとしています。
2人を担当する作業療法士は「AさんがBさんに料理のレシピを教える」というアイデアを思いつきました。最初は尻込みしていたAさんもBさんに自宅でできる簡単なレシピを教えてあげ、Bさんにとても喜ばれました。Aさんは「私でもまだ誰かの役に立てるんだね」と徐々に前向きな気持ちを取り戻していきました。Bさんも自立した生活に向けて自信がつきました。料理が2人にとって効果的なリハビリとなったのです。
このようにどんな作業もリハビリに取り入れられるのが作業療法の特徴です。作業療法士はその人にとって「大切なこと・好きなこと」をよく知り、工夫してリハビリを行います。

心にアプローチしてスティグマを減らす

作業療法は心にもアプローチし、うつ病、統合失調症などの精神科の患者様をサポートします。心の病気には「スティグマ(差別や偏見)」の問題があります。その中でも、患者様自身が病気や自分自身をネガティブにとらえる「セルフスティグマ」があります。Aさんのように心の病気になった負い目を感じ「価値のない人間だ」などと思い、自分で自分の生活を狭めてしまうことがあります。
作業療法では、その人の「特技や長所=強み」を見つけリハビリに取り入れます。得意なことが「できた」自信はセルフスティグマを減らし、「自分らしい生活を取り戻す」原動力につながります。

こどもの支援も

学校や生活の中で失敗体験を繰り返してしまうと、こどもも心の病気にかかってしまうことがあります。こどもの特技や長所=強み見つけ生かした支援を考えたり、保護者や学校の先生とも協力して、再び学びの場に戻る方法を考えることもあります。このようにこどもの支援も作業療法士の大切な役割の一つです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 講師 矢萩 未来 先生

東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 講師 矢萩 未来 先生

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作業療法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

作業療法の「作業」は、私たちが毎日行っているすべての活動です。その人にとって大切な作業を行うため、「できた」という実感・自信に結びつきやすく、心の回復もサポートできることに大きなやりがいを感じています。創造力やアイデアをふくらませて一人一人に合わせたプログラムを考えていくのもおもしろいです。作業療法士をめざすなら、新しい作業にどんどんチャレンジしてみてください。どんな経験も作業療法に生かせます。経験の幅が広がるほど、患者様に提案できる作業のバリエーションが広がっていきます。

先生への質問

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  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東北文化学園大学に関心を持ったあなたは

東北文化学園大学は、仙台・国見の丘にキャンパスを持ち、医療・福祉・社会・経済・工学・情報の幅広い学びができる総合大学です。「実学教育」を教育理念に掲げ、専門職業人を育成する大学です。2021年4月から新しい学部を設置し、学際的な教育環境がさらに充実しました。また、「キャリアサポートセンター」の就職支援と相成って、例年高い就職率を誇り、卒業生は各業界で高い評価をいただいています。