ITの活用が進化させる「サプライチェーンマネジメント」とは?
情報共有がムダを減らす
「サプライチェーンマネジメント」とは、モノを顧客に提供するまでの一連の流れを統合して考えて、設計・管理することです。IT(情報技術)が導入されたことで飛躍的な進歩を遂げました。例えば、小売店は需要を予測して、念のために多めの在庫を用意します。同様に卸売店、メーカーも、念のため多めに在庫を用意しようとします。これらが積み重なると実際に売れる量よりも多くの製品が生産されてしまいます。しかしITによって小売店の実際の販売状況が製造ラインに共有されれば、適切な量の生産が行えるため、無駄が発生しません。
身近なIT活用の事例
私たちの身近にも、サプライチェーンマネジメントにITをうまく活用している企業があります。コンビニ業界でトップシェアを誇るチェーンは「単品管理」というマネジメント手法を確立しました。これは商品ごとの販売実績のデータをうまく活用して、売れる商品を多く発注し、売れない商品は棚から外すなど、情報をもとに売り場を改善していく手法です。アメリカでも「TANPIN KANRI」という言葉になるほど広く知られています。
ブロックチェーンの可能性
この分野で今、注目を集めているのは、「ブロックチェーン」というIT技術です。これは、一度記録された情報がネット上に消えることなく存在し続け、広く共有されるという仕組みで、ビジネスの分野では特に取引上の信頼性の担保に役立ちます。例えばワインを作るには仕込みから完成までに多くの時間がかかるため、ワイナリー経営のリスクは高いと言えます。しかし、ブロックチェーンを活用すれば、ぶどうを仕入れた時期や仕入れ先、醸造される樽や販売相手といった一連の情報が偽りなく詳細に共有されるので、投資家からの信頼を得やすく、経営が安定します。製造者や投資家、消費者にとって有益な技術として、実用化が進められています。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 ビジネスデザイン学科 准教授 大村 鍾太 先生
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