子どもに寄り添い授業をデザインする、国語科教育の魅力
「保幼小連携」と子どもの思い
遊びや生活を通して総合的に学ぶ幼児教育と、各教科等の学習内容を系統的に学ぶ初等教育は、内容や進め方が異なります。途切れることなく子どもの育ちや学びを支援するためには、保育園・幼稚園・小学校が連携し、幼児教育と初等教育とを円滑に接続することが重視されています。
幼児教育で大切にしてきた「知りたい」「伝えたい」「やってみたい」という子どもの思いに寄り添い初等教育を捉え直していくことが、円滑に接続するための一つの要素です。
子どもの思いを生かした授業の実践
例えば、1年生では「乗り物図鑑をつくろう」という趣旨の単元があります。ただし、全ての子どもが乗り物に興味関心があるわけではありません。そこである小学校では、乗り物ではなく自分たちの学校の教室について調べて図鑑にしました。慣れ親しんでいる教室だけに、子どもたちはそれぞれの教室にどんな機能があり、どんなことができるのかについて実感もって書くことができます。また、出来上がった図鑑を翌年入学してくる園児にプレゼントするというゴールを設定し、子どもたちの意欲をさらに高めました。
図鑑づくりの単元は「つくり」と「仕事」という観点から書くための内容を収集・検討したり、さらに書く内容の順序を考えたりする力の育成が目標です。こうした目標設定はそのままに、乗り物から教室へと題材を変更したことで、子どもたちの主体性が喚起されたのです。
子どもの思いに添って学びをデザインする
このように、幼児教育で大切にしてきた子どもの思いに寄り添って授業をデザインすることで、子どもたちが主体的に学習に取り組むことが可能となります。
国語科教育は山登りに例えられるように、設定される目標は同じでも、そこに至るルートは一つではありません。その意味では、例えキャリアが浅い教員でも、学びの主役である子どもたちに寄り添うことで、より良い授業を実践できる可能性があります。自分の考えを生かしながら「学びをデザインできる」点も、国語教育の魅力の一つなのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 人文社会学部 児童学科 小学校・特別支援コース 准教授 寺岡 聡志 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
教育学、教科教育学、国語科教育先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?