講義No.13429 看護学

全身じゃなくても大丈夫! 部分浴の知られざる効能

全身じゃなくても大丈夫! 部分浴の知られざる効能

全身浴が難しい人でも楽しめる部分浴

人間は風呂に入ると、全身の血行が促進されることによって、疲労回復やリラックス効果など、さまざまなメリットを享受できます。しかし、例えば高齢者にとっては、全身浴は心肺機能にかなりの負担がかかってしまいますし、病院の入院患者には、症状や術後の経過などによって、全身浴をしたくてもできない人がたくさんいます。
そこで、注目されているのが、手や足の一部をお湯に浸す「部分浴」です。全身浴が難しい人でも比較的簡単に行える上、血行促進や睡眠の質の改善などでも十分な効果を得られると考えられており、現在その手法や効能について研究が進められています。

足だけでなく手や腕でも効果あり

部分浴というと、温泉地などでも見られる足湯というイメージが強いかもしれません。しかし足以外にも、手や腕をお湯に浸す「手浴」や「前腕浴」は足浴よりは簡単に湯に浸けることができるため、最近注目を集めています。家庭で部分浴を行う時は、洗面器やバケツを使って、38~42℃程度のお湯に10~15分、手や足を浸すだけでOKです。

実験で検証されていく部分浴の効果

部分浴が人間にどのような効果をもたらすのかという検証には、主観的な側面からはPOMS(Profile of Mood States:気分プロフィール検査)という世界共通の心理テストなどが実施されています。また、客観的な側面からは部分浴による心拍変動をセンサで計測するなどの実験も行われています。どちらの実験でも、部分浴によって、全身浴にひけを取らない血行促進、血圧低下、そしてリラックス効果が得られているとの結果が出ています。
また、近年、部分浴による脳血流の増加も注目され、例えばうつ病や認知症の人の症状改善・予防にもつながるのではないかという可能性も指摘されています。今後の実験による検証が期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

富山県立大学 看護学部 看護学科 在宅看護学講座 講師 山﨑 智可 先生

富山県立大学 看護学部 看護学科 在宅看護学講座 講師 山﨑 智可 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地域看護学、精神看護学、高齢者看護学

メッセージ

高校時代の勉強では、受験のために暗記しなければならないことがたくさんあると思います。それらももちろん大事ですが、「もしこれがこうなったら、どうなるのかな?」という自由な発想をすることも大切にしてください。大学に入ってからは、そうした自由な発想を基にして研究を突き詰めていく機会が増えていきます。自分の好きなこと、興味のあることを見つけ、それらを突き詰めていくことで、すばらしい研究成果につなげてもらいたいです。

富山県立大学に関心を持ったあなたは

本学は、1990年の建学以来、創造力と実践力を兼ね備えた人材育成や高度な研究開発、産業界との連携による地域貢献を果たしながら、最適な教育・研究環境を整えてきました。
2024年4月には、「情報」を軸とする工学の専門知識と、データサイエンスの専門知識を兼ね備え、デジタルの力を活用して社会の潜在的課題の解決策を導き出す能力を持った人材を育成する、「情報工学部」を新設しました。新しい校舎も建設予定です。
「ドンドン マスマス」成長する富山県立大学で、一緒に成長しよう!