足を守ることで命を守る! 糖尿病看護におけるフットケア

見えないリスクと向き合う糖尿病
糖尿病は、血液中のブドウ糖が体内にうまく取り込まれず、血糖値が高くなる病気です。初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行することがあります。血糖値が高い状態が続くと、腎臓や心臓、目など全身の臓器に影響を及ぼし、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。
日本では、糖尿病患者とその予備軍を合わせると約2,000万人に上り、成人の約4人に1人が糖尿病またはその予備群に含まれます。多くの人々が糖尿病のリスクを抱えており、早期の予防と適切な対応が重要となります。
小さな傷がきっかけで
血糖値が高い状態が続くと、足の感覚が鈍くなり、痛みや熱さ、冷たさを感じにくくなることがあります。そのため、小さな傷に気づかず、放置してしまい、悪化する恐れがあります。また、傷の回復に必要な栄養や酸素が十分に届かず、治癒が遅れることもあります。さらに、高血糖により免疫力が低下し、感染しやすくなるため、足のケアは非常に重要です。
糖尿病が原因で、年間3,000~10,000人が足の切断に至っているという報告もあります。早期の予防と適切なケアが、こうした深刻な合併症を防ぐために不可欠です。
足を守ることは、命を守ることにもつながります。
フットケアを通して治療と向き合う力をサポート
看護師による糖尿病患者のためのフットケア外来が増えています。足のトラブルの予防や早期発見を目的に、検査や観察、足浴、爪切り、保湿、靴選びのアドバイス、セルフケア支援などを行っています。
しかし、それだけではありません。フットケアを通して生活の様子に気づき、運動習慣や日常の変化など、治療に影響する要因を一緒に考えることも重要です。患者の足にふれながら対話を重ねることで、治療への意欲を引き出し、前向きな気持ちを支えることができます。
フットケア外来は、看護師が患者の生活と治療の両面に寄り添う、大切な役割の一つです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
