講義No.11937 機械工学

騒音も振動もゼロ、快適な機械の実現をめざして

騒音も振動もゼロ、快適な機械の実現をめざして

物理法則を超えた騒音も振動もない機械

私たちの身の回りにはさまざまな機械が存在します。機械を動かすときには騒音や振動が発生しますが、それらを抑えるにはどのような方法があるでしょうか? 簡単な解決方法は重い素材を使うことです。重い素材なら容易には振動しなくなり、結果として騒音も減少しますが、重いために、スムーズな動作が妨げられるというデメリットが生じます。騒音や振動を抑え、かつ快適な動作を邪魔しない、そんな物理法則を超えた新しい技術の研究が進められています。

常識にとらわれない逆転の発想

例えば、送風機に騒音はつきものですが、通常はスポンジのような音を吸収する素材を所々に用いることで騒音を抑えています。しかし、逆に音を透過する素材を使うことでも騒音が抑えられるのです。また、機械にくぼみがあるとそこから騒音が発生します。これまではくぼみ全体を覆うことで騒音を抑えていましたが、より手軽で簡単な方法として、小さなものをくぼみの内部に置くだけで騒音を消すことができるのです。全体を覆うのではなく、一部に加工することで従来以上に騒音を抑えることができます。これらの方法に共通するのは「逆転の発想」です。いずれも従来の常識とは正反対の方法を試すことで騒音を抑えることに成功しています。

快適な機械はSDGsの達成につながる?

現在、羽根のない送風機は存在しますが、騒音の発生しない送風機はまだ存在しません。このように騒音の発生しない機械を生み出すことは、物理法則を考えれば理論的に不可能です。しかし、発生した騒音を別の方法で打ち消すことができれば、実質的に騒音の発生しない機械は可能なのです。音は空気の振動なので、空気の振動自体を抑えれば実現は不可能ではありません。騒音も振動もない快適な自動車やエアコンが発明されれば、人々のQOL(生活の質)が向上し、ひいてはSDGsの達成につながるでしょう。騒音ゼロの機械を完成させる意義はそこにあります。

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富山県立大学 工学部 機械システム工学科 准教授 寺島 修 先生

富山県立大学 工学部 機械システム工学科 准教授 寺島 修 先生

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振動工学、流体工学、音響工学

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メッセージ

どんな道に進むにしても英語は必須です。あらゆる研究は世界の人とのコミュニケーションが必要になります。英語力そのものよりも、海外の人といかにコミュニケーションを取るかが大事です。英語力に加えて国語力も重要です。自分の研究成果が相手に伝わらなければ意味がありません。
そして、学問の世界では人と同じことをやるのではなく、自分の信じた道を突き進んでほしいと思います。たとえ自分の先生や周囲が反対してもやりたいことをやる、その信念が大切です。

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