振動・周波数とは何でしょう?

振動・周波数とは何でしょう?

「周波数」とは

物質には、フリケンシ(frequency)といって、音に起因した現象など小さく震えるものが多数存在します。例えば、比較的大きな「車の振動」や比較的小さい「携帯電話のバイブレーション」などです。このフリケンシを「周波数」または「振動数」と呼びます。特に電気電子工学や音響工学などでは周波数、そして振動数は物理現象に用いられます。
まず、周波数(f)は、f=1/T(Hz:ヘルツ)という式で与えられます。Tは周期(s:秒)です。身近な例では、ラジオのNHK FM放送の周波数はFM82.5MHzですが、M(メガ)=1000000なので、f=1/Tの式に代入すると、T(周期)は、0.000000012秒と、極めて短い時間で電波(あるいは電磁波)が「振動」しているということがわかります。

求められる振動・周波数の安定性

電気電子機器において、振動・周波数には高い「安定性」が求められます。振動の安定性とは、(1)10年経っても振動が変わらない(長期安定性)と(2)振動の揺らぎが少ない(短期安定性)の両者を指します。
(2)の振動の揺らぎを最小限にするには、近くに存在する「弱い振動」に共鳴して振動がジャンプするような「乱れ」を抑える技術が求められます。こうした振動に関するテクニックは、技術立国日本にとって、欠かせないものとなっています。

「圧電デバイス発振器」で広がる社会

携帯機器(携帯電話)などを利用するためには、その元になる「ある機器」に対して振動を同期させる必要があります。同期とはデジタル信号の「上げ下げ」を同一時刻で行うことです。その制御を行う素子が「圧電デバイス」で、電子回路と一緒の場合には「発振器」と呼んでいます。
圧電デバイスに、微小の電圧をかけて振動を生じさせます。圧電デバイス=振動と覚えて構いません。(2)の「振動ジャンプ」を減らすことが、周波数の安定性の高い究極の圧電デバイスとなるわけです。高性能の圧電デバイスの開発は、社会のさまざまな分野の可能性を広げていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東京都立大学 システムデザイン学部 電子情報システム工学科 教授 渡部 泰明 先生

東京都立大学 システムデザイン学部 電子情報システム工学科 教授 渡部 泰明 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

電気電子工学

メッセージ

私の研究は、電気電子工学の中でも「圧電デバイス」を扱っています。研究室では圧電デバイス発振器としてOCXO(オーブン併用発振器)の設計を主に行っており、世界トップレベルの成果を出しています。最近のこの分野の技術革新はどんどん進んでおり、電気電子についてだけでなく、物理的合成や化学的合成の知識なども必要になっています。これからは、こうした流れが加速していくと思うので、あなたも自分の好きなものだけを勉強するのではなく、さまざまなものに興味を持って、幅広い知識を得るようにしていってほしいと思います。

東京都立大学に関心を持ったあなたは

東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。