道具としてのロボット、ロボットの夢

道具としてのロボット、ロボットの夢

道具としてのロボット

災害現場で使われるロボットの重要な目的に、二次災害の防止が挙げられます。救助者の捜索や被災状況の把握を行うとき、その救助にあたる人々が危険にさらされないために、人間の入れない場所へ入っていけるロボットは、救助活動を支援する「道具」として有用です。
こういった用途のロボットは、救助者によって遠隔操作されるのですが、その操作のために専門の研究者が付いていなければならないようでは役に立ちません。災害救助の訓練を受けていない研究者は、極限の状況で働くことはできず、足手まといであり、命を失う危険性すらあるからです。
被災現場のファーストレスポンダー(消防隊員など)が、ロボットを消防車などと同じような「道具」として扱えるように、操作の負担は減らさなければなりません。具体的には、人間による大ざっぱな進行方向・速度の指示に従い、周囲や路面の状況に応じてロボットが自分で適切な行動を決定し、ロボットが自分のボディの動かし方を決める機能、すなわち、(半)自律機能が重要です。

ロボットの夢

ロボットというと、知性や感情を持って人間との会話ができるアニメのヒーローのようなものを思い浮かべ、「道具」として扱われるロボットを想像しにくいかもしれません。人間の友人となってくれるロボットを作ることこそが「人類の夢」だと考え、そのようなロボットを作る研究をしている人たちもいます。しかし、レスキューロボットがめざしている「夢」は、少し違います。
レスキューロボットに求められるのは、対話の知能ではなく、救助を行う人々の手足や目や耳として、あるいは、その能力を拡大する手段として、その人々の意のままに働くことができる知能です。
では、レスキューロボットの「夢」とは何でしょう。それは、「災害で救助を求めている人を一人でも多く救うこと、それに貢献すること」です。これもまた、「話し相手ロボット」とは異なる形で、社会の役に立つ目標だと思います。

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先生情報 / 大学情報

東北大学 大学院情報科学研究科  教授 田所 諭 先生

東北大学 大学院情報科学研究科 教授 田所 諭 先生

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ロボット工学

メッセージ

科学技術は、人の幸せのために存在するのだと思います。レスキューロボットの研究開発は、人の命を救うためにどのような科学技術が必要であるかを考えることです。将来、研究成果が社会で役立つ日が訪れることは間違いなく、それが一つのやりがいです。社会への貢献に夢や興味を持つ人に来てもらいたいと思います。
ロボットは多くの人の協力で開発されます。開発に関わった学生は力を合わせて新しい価値を創造する能力が自然と身につき、将来一流の仕事を果たす技術者・研究者として不可欠な素養が養われます。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東北大学に関心を持ったあなたは

建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造しています。また、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献して行きます。社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学の教職員、学生、同窓生が一丸となって、「Challenge」、「Creation」、「Innovation」を合言葉として、価値ある研究・教育を創造して、世界の人々の期待に応えていきたいと考えます。