脳の機能を解明して、「心」を知る
「心」とは何か説明できますか?
心理学とは「心」を扱う学問です。私たちは子どもの頃から自分の「心」とつき合っているので、「心」についてはよく知っていると思っているかもしれません。でも、その「心」が何であるのかについては、わからないことがたくさんあり、自分だけの経験では偏って理解してしまっていることも少なくありません。
その「心」に、できるだけ科学的、客観的、実証的にアプローチするのが心理学です。そして、その方法のひとつに、脳の解明があります。なぜなら、「心」は「脳の働きの現れ」であるからです。
脳は「心の器官」です
例えば、脳の一部が損傷されると、性格がガラリと変わってしまうことがあります。脳に刺激を与えると、感情が高ぶることもあります。つまり、私たちの「心」とは、脳の働きによって生み出される現象にほかなりません。脳とは「心の器官」なのです。「心の器官」としての脳の解明が進むと、「脳がこういう状態にあるから、こういう気持ちになる」ということがわかってきます。そうすると、辛い思いをしているときや、落ち込んでいる人に対するときに、「今は脳がこういう状態だから、辛いのだ」と知ることによって、少し客観的に辛さと向き合ったり、効果的に対応したりすることができるようになるでしょう。
脳を解明するいくつかの方法
では、「心の器官」としての脳の働きは、どのようにして解明するのでしょうか。動物の脳で実験し、脳への刺激がどういう行動につながるかを、実証的に明らかにする方法があります。また、心理学の対象はあくまで人間の「心」ですから、人間の脳の状態を数値によって知る研究も行われています。脳波、MRI(磁気共鳴画像)、PET(陽電子放射断層撮影)、近赤外線検査といった、脳の状態を非侵襲的方法(悪影響を及ぼさない方法)で測定する技術も発達してきています。脳の解明によって科学的に「心」を知ることは、心理学の課題のひとつでもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
上智大学 総合人間科学部 心理学科 教授 岡田 隆 先生
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