身体に良いものを取り入れ、不要なものを排出し「健康寿命」を延ばす
健康寿命と食品の関係
「健康寿命」とは、医療・介護などに依存せず自立した生活ができる年数のことです。誰しも年齢が上がると体力的な衰えは避けられませんが、摂取する食品によっては健康維持や病気の改善を期待することができます。栄養学の研究では、どの食品にどのような成分があり、どう機能するかなどを調べ、その結果をもとに食品の新商品開発に役立てられています。
水産食品が持つ健康メリット
例えば、水産食品にはどんな健康メリットがあるのでしょう。魚の脂肪には「不飽和脂肪酸」が多く含まれる特長があります。なかでも、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)はさまざまな魚に含まれており、動脈硬化予防や中性脂肪低下などの作用が知られています。
また、最近では加齢にともなって全身の筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」という疾患が、健康寿命と深く関わることが明らかになっています。2020年に、ミンククジラの赤肉には強い抗酸化力があることが発見され、さらに筋萎縮の予防効果が明らかになりました。このように、水産食品にはさまざまなメリットが見つかっています。
海洋問題にも貢献海洋問題にも貢献
近年では、5mm以下まで小さくなったマイクロプラスチックの海洋汚染や海洋生物への影響が懸念されています。最近では、普段私たちが口にする魚介類や缶詰食品などにも目には見えない微小マイクロプラスチックが含まれることが明らかになってきました。これより、微小マイクロプラスチックが体内に蓄積され、知らないうちに人体に影響を及ぼしている可能性が指摘されるようになりました。
現在、特定保健用食品(トクホ)に用いられる難消化性食素材を使った、マイクロプラスチックを体外に排出する腸内環境改善食品の開発が進められています。将来的には商品化や海洋生物への応用も視野に、研究が続けられています。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 海洋学部 水産学科 准教授 清水 宗茂 先生
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