スポーツする人を支える「栄養士」

スポーツする人を支える「栄養士」

スポーツ栄養学とは

スポーツ栄養学とは、主に競技スポーツの選手を対象に、身体作りや疲労回復、持久力向上などのためにどのような食事をしたらいいかを研究する学問です。摂取すべき栄養は何か、その栄養を含む食品、その食品をとるための献立、調理までを含みます。
食事の効果はすぐには見られませんが、確実に影響します。選手の身体作りに関わり、選手が競技で成果を発揮するまでを共に経験します。トップレベルの競技者に限らず、一般の競技者や理想の身体作りをめざす人などの目標達成をサポートする際にも有効な研究分野です。

栄養は、いつとるかも大事

効果的な食事のタイミングは競技によって異なります。例えばマラソンのように、2、3時間連続で運動する場合は、競技の最中にも栄養補給します。陸上の短距離やフィールド競技、水泳のように運動時間自体は短いものの、1日に何度も試合がある場合は、試合のタイミングに合わせて少しずつとります。スポーツ後の食事には、栄養補給と、運動により壊れた筋肉を修復する目的があります。その栄養が体に及ぼす影響について、競技者の心拍数や、血液や尿、唾液などの生体試料から血糖値、乳酸値などのデータを集めて分析が行われます。

オリンピックに同行する栄養士

2012年のロンドンオリンピックの前頃から、各競技のナショナルチームでは、スポーツ専門の管理栄養士を派遣するなどのサポート体制が整えられてきました。例えば日本セーリング連盟は、世界大会やオリンピックなどの海外遠征にスポーツ栄養士を帯同しています。大会期間中は、体重や脈拍などの測定を通じて選手の体調管理を行いながら、食事の献立作り、調理、提供まで担います。1週間にわたり競技が行われるセーリングの場合は、疲労がたまりやすいため、食欲や体重が落ちるのを防ぐ食事の提供が行われます。さらに、2020年東京オリンピックに向けて、効果的な食事提供ができるよう、競技中の選手個別の身体状態のデータ蓄積や分析が行われています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

びわこ成蹊スポーツ大学 スポーツ学部 スポーツ学科 トレーニング科学コース 准教授 武田 哲子 先生

びわこ成蹊スポーツ大学 スポーツ学部 スポーツ学科 トレーニング科学コース 准教授 武田 哲子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

スポーツ栄養学、栄養学、運動生理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

スポーツ好きで、スポーツに関する分野で働きたいと考えているなら、できるだけスポーツの現場に関わるとよいでしょう。選手が現場で求めていることを肌で感じることができます。
私は、高校では部活をし、大学ではトレーナーの立場で本気でスポーツする人たちに関わりました。その経験が、栄養学の勉強をする際に「あのときはああすればよかったのか」という気づきにつながり、理解の助けになりました。スポーツ現場の栄養士は、選手の身体作りに関わり、パフォーマンスを発揮する場面での選手の喜び、悔しさを共に経験できる仕事です。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

びわこ成蹊スポーツ大学に関心を持ったあなたは

本学は、体育大学ではなく日本で唯一のスポーツ大学として“新しいスポーツ文化の創造”を目指しています。年齢や性別や境遇を超え、スポーツを全ての人々に楽しんでもらいたいと願い、新たな挑戦を続け進化していくためにスポーツを総合的な視野から見つめ、深い知識と実践力を備えた人材の育成を心がけています。また、自らの可能性を新たに発見し、主体的に学ぶ積極的な姿勢を身につけ、前向きに働きかける事ができる人間力を養っています。私達と共に学び、“夢”を実現させましょう。ぜひ本学でお会いできる事を楽しみにしています。