米のタンパク質がもたらす健康への新たな可能性

米のタンパク質がもたらす健康への新たな可能性

米からタンパク質が取れる

「米は糖質が多いからダイエットの敵」と思っていませんか? 米には糖質のほかに、タンパク質が含まれています。タンパク質は英語でプロテインと言い、しなやかな筋肉や健康な肌、髪を作るのに欠かせない大切な栄養素です。ではどのくらい米にタンパク質が含まれているのでしょうか。炊飯する前の米で100 g中に6 g程度しか含まれていません。約6 %ですから、「畑の肉」と例えられる大豆の約30 %という数値に比べると、かなり少ないという印象です。しかし、現在でも日本人の主食は米であり、日々多量に摂取しています。そのため、特に若い人の場合は、肉、魚に次いで3番目に多く、米からタンパク質を摂取しています。

米のタンパク質に健康機能が?!

大豆のタンパク質には、人間のコレステロールを下げるはたらきがあるだけでなく、そのほかにもいろいろな健康機能があることが知られています。一方、米に含まれるタンパク質については、最近になって糖尿病および合併症へ効果や抗酸化作用など、いくつかの健康機能があることがわかってきました。現在はそうした結果を踏まえて、どのようにしてに米のタンパク質が作用しているのかといった仕組みを解明する研究が進められています。このような基礎となるデータを元に、将来、例えば米由来のタンパク質を含む特定保健用食品や機能性表示食品の開発などが期待されます。

健康食品や食料自給率改善などへの可能性

米のタンパク質の研究が進めば、スーパーの棚で見かける「大豆タンパク」の製品と同じように、「米タンパク」の製品が並ぶ可能性があります。日本人は「米は炊いて食べるもの」という考えが強いため、海外のように米を加工品ととらえる見方は少ないですが、これからは食品素材としての米タンパク質を回収するために、米の生産が増えることも考えられます。このような展開が進めば、カロリーベースで考えた場合の食料自給率改善につながることも期待できるでしょう。

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新潟工科大学 工学部 工学科 食品・環境化学系 食品機能解析学研究室 准教授 久保田 真敏 先生

新潟工科大学工学部 工学科 食品・環境化学系 食品機能解析学研究室 准教授久保田 真敏 先生

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人間というものは「経験」から学ぶ生き物で、人間の財産はその「経験」だと思います。「百聞は一見にしかず」というように、あなたもいろいろなことに挑戦してください。そこには、そのタイミングでしか得られない貴重な体験もたくさんあります。怖がらずにいっぱい挑戦して、いっぱい失敗してください。落ち込むこともあるでしょう。しかしそれで終わらずに、失敗したときはその理由をしっかり考えて、次の挑戦につなげましょう。そうすればあなたの人生は、より豊かになっていくはずです。挑戦を恐れないでください。

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