デザインの方法論で、社会の問題とビジネスの課題を解決する!

デザインの方法論で、社会の問題とビジネスの課題を解決する!

「広義のデザイン」とは

日本語の「デザイン」は、ポスターや建築など「目に見える形を作る」という意味で使われることがほとんどです。しかし、英語の「design」には本来、設計や構想といった広い概念が含まれています。この広義のデザインの方法論を活用し、社会やビジネスの課題を解決する研究が始まっています。この方法論を用いると、これまでとはまったく違う発想とシステムを生み出すことができるのです。

新しい「地域内物流システム」

静岡県のある地域には、従来とは異なる「地域内物流システム」があります。以前、この地域の農産物は、東京の青果市場に出荷されてから静岡県に戻っていました。当然、野菜の鮮度は落ち、物流コストがかさみます。
この不合理なシステムに代わって登場したのが「やさいバス」です。小売店や飲食店が、生産者を指定して買いたい野菜をネット上で注文すると、生産者が収穫して最寄りのバス停(集荷場)に届けます。それを、地域を巡回しているバスがピックアップして購入者の最寄りのバス停に届けるという仕組みです。これによって、新鮮な野菜を余計な物流コストをかけずに流通させることが可能になりました。環境にもやさしく、購入者と生産者のコミュニケーションも活発になっています。

デザインの方法論で

「やさいバス」を実現させたのが、広義のデザインの方法論でした。まず、フィールドリサーチを通して社会課題を把握し、それを解決するための仕組みを構想します。このとき大事なのは、人々の「生の声」を集めることと、経営者・生産者・消費者のほか、さまざまな分野の専門家が領域横断的に議論し、構想し、造形するプロセスです。こうした取り組みによって、これまでどこにもなかった新しいシステムが誕生したのです。
この研究は日本ではまだ始まったばかりですが、研究と実践の進展が、従来の枠組みを超えたイノベーションを生み出し、より良い未来社会の創造につながるのです。

参考資料

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先生情報 / 大学情報

武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科 教授 岩嵜 博論 先生

武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科 教授 岩嵜 博論 先生

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デザイン学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校までの勉強では、問いには正解があり、それを正しく答えることが求められてきました。しかし、世の中には正解のない問いがたくさんあります。大学で出会うのは、正解のない問いに挑む楽しさです。あなたも今から、正解のない問いを意識すること、正解とは別の答えがないかを考えることが大切です。
未来は勝手にやってくるのではなく、自分たちの手で作るものです。大学では、正解のない問いに挑み、構想力を働かせ、これまで誰も考えなかったことを発想し形にして、未来の社会を切り開いてください。

先生への質問

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武蔵野美術大学に関心を持ったあなたは

武蔵野美術大学が教えるのは絵の描き方ではありません。目の前にある物事をどうとらえ、そこから何を見出し、どのように社会に還元するか、生きる上での指針となる学びを提供します。
卒業生はこれまでに約6万名を数え、その活躍の場も、美術・デザインの世界にとどまらず、建築や映像、演劇、音楽へと広がりを見せ、「ムサビ」の愛称とともに高い評価をいただいています。
未来に無限の可能性を秘めた皆さんを私たちは歓迎します。