アニメーションを作る上で大切なこととは?
身近な存在のアニメーション
テレビや動画サイト、映画館などで、私たちは毎日のようにアニメーション目にしています。カラフルな絵柄がまるで生きているかのようになめらかに動くさまは、見ていて本当に楽しいものですが、そのアニメーションを作り上げるには、膨大な手間と時間がかかっています。
10秒のアニメーションに80枚の絵
アニメーションで絵が動いているように見せるためには、1秒間につき24コマが必要になります。一般的なアニメーションでは、1枚の絵を3コマで使用するため、1秒のアニメーションには8枚の絵が必要です。10秒なら80枚、1分間では実に480枚もの絵を描かなければならないのです。
以前はアナログな手法で絵を描き、カメラで撮影したフィルムをつないでアニメーションを制作していました。最近では機材のデジタル化が進み、コンピュータによる作画が一般的になったことで、制作過程での修正作業もしやすくなり、作業の負担が軽減されている部分もあります。それでもやはり、一編のアニメーションを作るのに膨大な手間がかかるという点は変わっていません。また、デジタル機材に頼りすぎてしまうと、絵柄が画一化されてオリジナリティが失われてしまう危険性もあります。
アニメーションにこそ伝えられるもの
アニメーションには、さまざまな手法が存在します。立体の人形をセットの中で少しずつ動かしながらコマ撮りする方法、水彩絵具やクレヨンや墨汁や砂など、多種多様な画材や素材で絵を描いてアニメーションを作る方法などもあります。
そうした手法の選択とともに、アニメーションを作る上で大切なのは、作品を通じてどのような「物語」や「メッセージ」を伝えるか、という点です。作品を見終えた時に人がどのような気持になるか、作品を通じて作り手の側が伝えたかった思いが伝わっているかどうか、ということです。アートとしての価値を追求した作品でも、あるいは商業的な作品でも、アニメーションという時間美術にこそできること、伝えられるものがあるはずです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン学科 教授 野村 辰寿 先生
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アニメーション学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?