「あたりまえ」や「無意識」からデザインを考える

「あたりまえ」や「無意識」からデザインを考える

広い部屋と天井の高い部屋、どっちが高く売れる?

あなたは、建物の天井の高さを意識したことがありますか?
実際の部屋のような実験空間を使って、ある実験が行われました。広さ×高さの「容積」がほぼ同じ2タイプの部屋を用意したところ、面積が広くて天井が低い部屋よりも、面積が狭くて天井が高い部屋の方が「1割ほど広く感じられる」ことがわかったのです。もし、販売するとしたら、天井の高い部屋を1割ほど高く売ることができ、「天井の高さ」にも価値があるということができます。人間は、自分でも気づいていない心理や価値観によって、環境やものを選び取っているのです。

空間やインテリアが気持ちや行動を変える

環境やデザインは、人間の心理や行動と関連性があると考えられます。
ある保育園で、高い天井を生かし、そこにあるお話に合わせた空気の流れで動く装飾「モビール」を吊り下げたところ、子どもたちがモビールの形から想像をふくらませ、お話を自分たちでどんどんつくりあげていったという事例があります。空間とモビールの関係性が、子どもたちの感性を刺激したのです。
一般の家庭でも、対話が多い家族なら、丸いテーブルをリビングに置くと、家族が自然と向かい合うかたちになり、居心地がいいと感じるでしょう。あるいはそのようなテーブルを置くことによって、家族の対話が増えるきっかけになるかもしれません。

「あたりまえ」の心理と行動に意識を向けよう!

このように人間には、無意識にやってしまう心理や行動があり、そのうしろには趣味・嗜好・体験などのさまざまな要因が隠れています。「なぜ、その洋服を着るのか」「なぜ、そのヘアスタイルにするのか」。普段何気なくやっている「あたりまえ」のことに意識を向けることが、人間の心理や行動が何に左右されるのかを気づくきっかけになるはずです。
すべてのデザインは、人間につながっています。人間そのものに興味を持つことで、売れるデザイン、喜ばれるデザインを生み出す感性が磨かれていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 生活科学部 生活環境デザイン学科 准教授 橋本 雅好 先生

椙山女学園大学 生活科学部 生活環境デザイン学科 准教授 橋本 雅好 先生

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感性デザイン、生活環境デザイン

メッセージ

現代は、たくさんの情報を簡単に得ることができますが、得ることだけに満足していると、まったく情報を得ていないことと同じです。口コミなどの他人に教えられた情報だけではなく、興味を持ったものを自分で調べて、実際に見て、触れてみてください。そのためには日頃からアンテナをはり、感度を上げることが大切です。例えば、料理の盛り付けも、デザインの1つです。毎日の盛り付けをちょっと工夫するだけで感度は上がるはずです。そのように意識して暮らしていくことで、感性も磨かれていくでしょう。

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「わたしは、暮らしを、理想のデザインで満たす。」
ものづくりの確かな企画力・デザイン力を学び、将来のキャリアにつなぐ。

生活環境を、便利で心地良く、安全で健康的な「理想のデザイン」で満たすことが生活環境デザイン学科の目標です。ものづくりの実践を通して、新たな暮らしを構想する力、それを魅力的に提案する力、多くの人たちを巻き込み実際の形にするプロデュース力など、ものづくりの総合力を修得。創造的な学びの中で磨き上げた個性と能力で、活躍の領域を広げていきます。